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令和6年度施政方針

最終更新2024年02月29日(木) 17時00分
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令和6年2月29日に開会した与謝野町議会において、山添町長が述べた「令和6年度施政方針」をお知らせします。

令和6年度施政方針を述べる山添町長

令和6年度施政方針を述べる山添町長

1 はじめに

 住民の皆さんの暮らしの中にこそ、政治の役割がある。住民の皆さんの未来を照らすために、政治が下すべき決断がある。
 令和5年度は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが2類から5類に移行されたことに伴い、地域社会においても人と人の交流が活発化し、街角や学校などに笑顔や笑い声が広がり、人は人とのつながりの中で生きているということを再確認いたしました。私もまた、住民の皆さんとふれあう機会に恵まれ、当たり前であった光景が再び目の前に戻ったことに感動する日々を過ごしています。
 百年に一度の公衆衛生上の危機と言われた感染症を乗り越えることができたのは、医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆さん、住民・事業者の皆さんの他者を思いやる気持ちの賜物です。ここに、改めて、心から感謝を申し上げます。
 このような状況の中、令和5年度においては、私をはじめ与謝野町役場に集う職員たちはコロナ禍の影響による地域社会の変化や兆しをつかむために、住民の皆さんとの対話を重視しながら行政運営に当たってまいりました。
 この間、役場組織あげて、住民の皆さんの声に耳を澄まし、ポストコロナ社会をともに創るために対話と協働を重ねてまいりました。長引く物価高騰によって生活が苦しくなったと溜め息をつく高齢者・人口減少の影響を受けて顕在化した地域の空き家問題に取り組む自治区役員・家族の認知症の進行に戸惑う男性・お子さんの障害に向き合い乗り越えようとする保護者・地域のごみ拾いを率先して行う小学生・厳しい経営環境下でも積極的に海外販路を開拓する織物事業者をはじめとする住民・事業者の皆さんから、切実なお困りごとからご自身の夢の実現に向けた情熱など、幅広い声や想いを受け止めてまいりました。
 この対話と協働を重ねる中、冒頭でご紹介いたしました「住民の皆さんの暮らしの中にこそ、政治の役割がある。住民の皆さんの未来を照らすために、政治が下すべき決断がある。」との強い覚悟を持ちました。令和5年度の歩みと胸に刻み込んでいる強い覚悟をふまえ、来年度は、これまで以上に、「住民の皆さんに寄り添い、人・環境・未来にやさしいまちづくり」の実現をめざす決意です。

2 変化する地域社会

 本町は人口減少が進む基礎自治体のひとつです。18歳を境に進学や就職のために転居する方々が多いということ、出生数が減少していることが主な要因となっています。静かなる有事である人口減少は地域に大きな影響を与えています。人手不足の深刻化や空き家や廃屋の増加、消防団員の減少などは、地域コミュニティの維持を困難な状況に追い込みます。さらに、人口減少・超高齢化社会などの構造的な課題に加えて、2年前のロシアのウクライナ侵攻を起因とする経済情勢の悪化により、電力やガス料金の価格の高騰を引き起こし、現在では物価が全体的に高騰している状況となっています。
 一方で、住民・事業者の皆さんにおいては、厳しい状況下にも関わらず、地域課題を解決するための努力や地域の魅力や可能性を高めるための挑戦を重ねられております。勇気を出して踏み出す一歩は、いつの時代でも尊いものです。地域の動向に目を凝らしていると、その一歩が人の心を動かしていると感じる場面に直面することもあり、心を打たれます。
 めまぐるしく変化する社会経済情勢の中で、住民の皆さんの行政機関に対するニーズは複雑かつ多様化しております。これらに対応するためには、与謝野町役場においても、限られた行政資源を賢く分配することが求められているとともに、自治区・地域団体・地域内外の非営利活動法人をはじめとする法人などとの連携を強化する必要性がますます高まっております。
 令和の時代に地方自治に携わる私たちに託された問いは、「連携による大きな社会をいかに創りあげるのか?」です。

3 与謝野町のめざす姿

 私は、来年度を「住民の皆さんに寄り添い、人・環境・未来にやさしいまちづくりを実現する年」と位置付けました。変化する地域社会の実情を的確に捉え、住民の皆さんをはじめ大きな社会づくりに共感・参画してくださるすべての皆さんと連携することにより、その実現をめざします。
  そのために重要なのは、やはり、第2次与謝野町総合計画の基本構想で示した、みんなの手でまちづくりを進めること、将来世代のためにも未来志向のまちづくりを進めること、みんなにとってみえるまちづくりを進めることだと認識しております。
 合併以降、「水・緑・空 笑顔かがやくふれあいのまち」をスローガンに、私たちは、美しい水と緑、澄んだ空に代表される自然との調和を大切にしながら、一人ひとりの笑顔がかがやく、ふれあい豊かなまちをめざしてきました。この想いを尊重しつつ、第2次与謝野町総合計画では「人・自然・伝統 与謝野で織りなす新たな未来」を未来像に掲げております。これには、経糸と緯糸が交わり風合い豊かな丹後ちりめんが織りなされていくように、自然と伝統が交わりながら、まちの主人公である住民一人ひとりが本町の新たな未来を創るという意味が込められています。
 来年度は、第2次与謝野町総合計画後期基本計画の2年目に当たる年となります。改めて、総合計画の策定を通じて、住民の皆さんと分かち合った基本理念をふまえて、政策や事業を粘り強く実行していくことを、与謝野町役場の基本的な行動原理であることを表明いたします。

令和6年度について(7つの分野別方針)

(産業・仕事に寄り添うまちづくり)

 本町は、住民・事業者の皆さんの自らの人生は自らの手で切り拓くという強い想いが基盤となり、会社を興し事業を発展させるために切磋琢磨する方々が全国の各地域と比較しても多いことが、地域としての大きな特徴となっています。その歴史的な歩みをふまえ、地域の発展や成長を実現していくためには中小企業や小規模事業者の振興は欠かすことのできない重要な要素だと認識し、その理念や基本方針・基本的施策などを取りまとめた与謝野町中小企業振興基本条例を定めており、現在もまちぐるみで推進している最中です。
 住民の皆さんの平均所得は増加しているものの、地域内産業構造の変化・人口減少による人手不足の深刻化や新型コロナウイルス感染症のまん延・長引く物価高騰の影響などを受けて、経営環境は非常に厳しい状況が続くとの基本的認識に立っております。一方で、地域内外の法人による経営規模拡大や町内進出を選択肢のひとつとする事業構想のご相談を受ける頻度も増えてきております。これまでよりもっと、産業・仕事に寄り添い、一人ひとりが個性を活かし安心して働けるまちをめざしてまいります。
 来年度においては、中小企業振興基本条例や地域経済分析報告書をふまえて、新たな挑戦が生まれる風土づくりや環境づくりを強化いたします。そのために、創業や新規事業創出への支援を強化し、既存の産業振興支援事業を拡充いたします。また、本町の企業誘致戦略に基づき、町内の空き家・空き工場を活用した比較的規模の小さな企業誘致を推進するとともに、企業の新規立地や工場増設などを支援していきます。
 与謝野町の地場産業である織物・農業を取り巻く環境は大きく変化しています。移出産業として地域産業を支えた織物業と農業は、最盛期と比較すると国際的な競争や担い手不足によって厳しい局面を迎えていることは事実です。しかし、先人たちから受け継いできた独創的な織物技術と真摯な姿勢によって生み出されるテキスタイルは唯一無二であり、世界的にも高い評価を受けています。農業においても、農家の皆さんとともに取り組んでき100%天然素材で製造している京の豆っこ肥料を基軸とした自然循環農業も時代に求められる営みです。実直で丁寧な作業によって栽培されるきらきらと輝く白いお米やみずみずしいお野菜は地域内外の消費者に高い食味と本町の風土を贈り届けてくれています。
 私はこの地で古くから営まれてきた地場産業を誇りとともに次世代につなげていきたいという強い思いを持っております。そのために、国府や専門機関と連携を図りながら、生産基盤・技能育成・販路拡大などに取り組むと同時に、それぞれの産業を新しいステージに乗せていくための第一歩を踏み出します。

(交流・移住定住に寄り添うまちづくり)

 私は高校卒業後、地元を離れて生活していました。20代後半に家族や幼いころからやさしく接してくれた地域の方々が住まう与謝野町に帰郷いたしました。その時から14年が経過いたしました。この間、全国各地から、時には海を越えて、友人やその友人たちが本町をめざして旅をしてくれています。
 春夏秋冬、それぞれに魅力のある本町の楽しみ方は幾通りもあります。ガシャンガシャンという機音が鳴り響く機場で美しく輝くシルクの生産現場を訪れたり、田植えや稲刈りの作法を教えてもらったり、若者たちが集うパブで地元産ホップが香るクラフトビールを楽しんだり、千年も昔から鎮座する大椿を仰いだり、春の例祭の華やいだ雰囲気を味わったりと。
 そのような経験を通じて、本町の魅力や人の温かさを知った来町者たちは、口をそろえて「与謝野町のことが好きになった」と言ってくれます。そしてまた、私も来訪者とともに地域を巡るたびに、この土地で暮らす人たちのやさしさや粘り強さ、守り育まれた自然や文化に尊敬の念を持つとともに愛着が強くなるという経験を重ねてきました。
 皆さんも同じような経験があるのではないでしょうか?
 孔子の言葉に「近きもの悦(よろこ)び、遠きもの来(きた)る」という言葉があります。傍らにいる人が喜べば、自然と遠くからも人が寄ってくる、という意味です。この言葉の通り、地域の住民が地域の魅力を掘り下げ、地域で楽しむ。そして、それを友人などと分かち合うことが、ひいては、与謝野町に人の流れをつくることにつながると考えております。
 来年度においては、ちりめん街道に位置する旧尾藤家住宅が国重要文化財に指定されたことをひとつの契機として、新たに改訂した海の京都・ちりめん街道滞在交流マスタープランを始動させます。特徴としては、昔ながらの街並みをそのまま表現するという基本に立ち返り、観光拠点設置事業や移住者誘致にかかる戦略マップの策定に取り組み、人の流れと交流による相乗効果を生み出します。また、町内唯一の駅である与謝野駅周辺のまちづくりを推進いたします。昨年の夏に、与謝野駅前に町内法人により町内初となるクラフトビール醸造所兼飲食店が開設されたことに伴い、長年にわたり閉業していた旅館が再オープンいたしました。今がまちづくりを推進する良いタイミングととらえられた地元地域の皆さんが「与謝野駅100周年実行委員会」を組織されており、私たちとしても当該団体と連携を図りながら、駅周辺のまちづくりの方向性を取りまとめるなどの、新たな地域協働の取り組みを推進いたします。
 令和5年度は、世界的にも新型コロナウイルス感染症を乗り越えたこともあり、これまで大切に交流を重ねてきた自治体や団体との連携も活発なものとなりました。昨年の11月には、英国ウェールズ・アベリスツイス市と本町としては初となる国際友好協定を締結し、フランク・エバンス氏の平和への願いを分かち合い、友好関係のさらなる発展に努めることを確認いたしました。また、平成26年1月に島根県津和野町・三重県明和町・本町で締結していた「災害時の相互応援に関する協定」を拡充し、新たに「観光・産業の地域活性化と文化・教育の活動」に関する分野を取り入れた「包括的連携に関する協定」を締結いたしました。
 この場をお借りし皆さんにご報告申し上げたいことがございます。3町間の包括的連携の深化のためには日本遺産の枠組みを活用することが重要であるとのお考えのもと、連携の旗振り役を担っていただいていた三重県明和町の世古口哲哉町長が、今月7日に不慮の事故でお亡くなりになられました。昨年は本町に2度も足をお運びになられ、住民・職員の皆さんにもふれあってくださいました。志半ばでこの世を去られ、さぞかし無念だったことと思います。私もあまりの衝撃でこの事実を受け止めることはできておりませんが、ここに、世古口哲哉町長のご冥福を心からお祈り申し上げます。
 先人たちから受け継いだ交流の歩みを尊重し、さらなる発展をめざして取り組むと同時に、新たな交流も開始いたします。来月には、京都市伏見区に所在する学校法人・聖母女学院が運営する香里ヌヴェール学院中学校・高等学校と連携協定を締結し、本町を高校生たちの学びの場としてとらえた取り組みを推進いたします。具体的には、高校生と地域企業とのコラボレーションや本町のPR大使への着任などを通して、本町の発展に寄与していただくことを想定しております。

(健康・福祉に寄り添うまちづくり)

 平成18年に13件だった役場への認知症相談件数は、令和4年には746件となり、過去18年で実に58倍の増加となっております。これは、超高齢化社会を迎えた日本と本町にとって、健康・福祉をめぐる環境は大きく変化していることを示す数値のひとつとして捉えられます。この刻一刻と変化する状況に対して、的確に対応することが求められると認識しており、これまでよりもっと、健康や福祉に寄り添うことによって、みんなが幸せに生きるまちをつくってまいりたいと考えております。
 本町の医療・福祉の提供体制は、京都府立医科大学附属北部医療センターと地域に根差した医院・クリニックなどのかかりつけ医療機関、特別養護老人ホーム・小規模多機能型居宅介護施設・障害者福祉施設・社会福祉協議会・作業所などの福祉関連事業所が連携することによって整えられております。
 住民の皆さんが健康に暮らし続けるためには、地域の医療・福祉体制がハード・ソフトの両面で充実していなければなりません。令和5年度におきましては、京都府立看護学校が定員を増やしたうえでの建て替えが決定し、現在、男山区で校舎と寮の建築計画が進んております。また、京都府立医科大学が北部医療センターに社会人大学院「北部地域医学コース」を来年度に新設することとなっており、本町や隣接自治体にとって悲願であったふたつの拠点の充実が図られます。高齢者及び障がいのある方を支える福祉施設も充実が図られました。間もなく明石区に完成予定の高齢者福祉施設や弓木区に開設された看護小規模多機能施設、加悦区に開設されたグループホームなど、地域に根差した活動を展開いただいている事業所がより一層住民の皆さんに寄り添う取り組みを進めていただいております。来年度においても、関係者の皆さんと連携することによって、安定したサービスを提供してまいります。
 新型コロナウイルス感染症の流行は、障がいのある方・高齢者・こども・引きこもり者や一人親家庭など、社会的に立場の弱い人たちに大きな影響を及ぼしたと認識しています。私もこの一年間を通して、様々な立場におかれた多くの住民の皆さんの声や想いを受け止めるなかで、コロナ禍を経て、行政に対して助けを求める声が増加したとの感触を持っております。
 私はこの声に応えたい。私は苦しいと助けを求める人々に寄り添いたい。そう、強く思っております。一人ひとりの多様な個性が尊重され、地域社会で真に安心して暮らせるまちとなるよう、孤独・孤立・自殺・認知症・LGBTQに関連する対策をより一層進めてまいります。

(子ども・子育てに寄り添うまちづくり)

 地域と一体となって作り上げる子育て環境。与謝野町はこの実践ができるまちです。それを証明する顕著な例がキッズステーション事業です。本年2月までに町内8箇所において、地域住民の皆さんと小学生たちとのふれあいの場が開設されております。各実施主体が提供される内容は様々ですが、現場にお伺いすると、子どもたちがわいわいがやがやと楽しそうに時間を過ごし、地域住民の皆さんも温かく包み込むようにして対応しておられます。
 本町では、「子育てするなら与謝野町」のまちづくりを進めるために、妊娠期から子育て期までの切れ目のないきめ細やかな子育て施策に取り組んでいるところです。子育て世代包括支援センター事業では、府と連携しながら「出産・子育て応援給付金」を妊娠中と産後に各5万円相当のギフトを進呈するとともに、町独自施策として実施している出産準備応援金を引き続き支給いたします。さらに、来年度は次代を担う子どもの健康の保持・増進を図るために、子育て支援医療の対象を高校生相当年齢まで拡充いたします。
 また、長年の懸案事項のひとつでもある野田川地域の認定こども園の整備事業を推進いたします。本町は、加悦地域・野田川地域・岩滝地域にそれぞれ新築の認定こども園を整備し、就学前の児童に対する保育・教育活動を提供するという方針を掲げております。平成29年7月に岩滝地域においてはかえでこども園が、令和3年12月に加悦地域においてはつばきこども園が新園舎にて保育教育活動を開始しております。残る野田川地域の認定こども園の整備については、昨年9月の和田議員の一般質問において整備予定地を石川保育所及び周辺の用地を候補地とする答弁をさせていただきました。以降、野田川地域の区長会・野田川地域のこども園及び2つの保育所の保護者・子育て支援センターにお子様を通わせておられる保護者・各地区住民の皆さんに対して、現園舎の老朽化が進んでいる状況や方針決定にいたるまでの経緯、今後の見通しなどについて20回を超える説明会を開催し、ご理解を得るための努力を重ねてまいりました。各説明会では、1日も早い開園を求める声も多くちょうだいし、整備計画を進める環境は整ったものと判断しております。来年度においては、石川保育所周辺の取得予定地の不動産鑑定を実施し、新園舎完成に向けた第一歩にしたいと考えております。

(教育・スポーツ・文化活動に寄り添うまちづくり)

 与謝野町教育大綱では、「世界中の国や地域で、自らの責務を果たすことができ、自信と思いやりにあふれ、創造的に未来を開拓する精神をもつ人間を育む」を教育理念に掲げております。令和5年4月には、教育理念を実現するために設定している基本目標を2点にわたり追加改定しております。
 1点目は、コミュニケーション力です。多文化共生時代の現代において、コミュニケーション力を育むことは学力の向上にも極めて重要となっている他、学習指導要領にある「主体的・対話的で深い学び」の実現にも必要不可欠なものとなっております。本町では、演劇的手法による学びを取り入れることにより、その育成を図ってまいります。2点目は、普遍性です。新型コロナウイルス感染症は、教育現場に多くの困難をもたらした一方で、タブレット端末の活用やオンライン授業の導入などの大きな転換点にもなりました。オンラインでは経験し得ない社会体験活動・文化芸術活動・異文化交流などのリアルな体験の価値が再認識されており、デジタルとリアルの最適な組み合わせによる教育の重要性が高まりました。今後は、人工知能の飛躍的な進化が想定され、教育デジタルトランスフォーメーションが進む未来社会が到来いたします。今まで以上に私たちには、一人ひとりの主体性と人間ならではの創造性という普遍的な力が求められるものと考えます。これらの考え方に基づき改訂した与謝野町教育大綱をふまえ、各小中学校や地域社会、地域企業や関係団体などと連携を図りながら、学校教育と社会教育の更なる充実をめざしてまいります。
 そのためには、本町で生きる児童生徒が置かれている状況をよく観察し、一人ひとりに寄り添う姿勢が極めて重要であると考えます。新型コロナウイルス感染症は、子どもたちに大きな影響を与えており、不安定型の学級集団の増加、発達に課題のある生徒の増加や不登校生徒の微増など、本町においても注視していかなければならない状況であると認識しております。児童生徒の健全育成のために、心理発達を専門とする相談員が保育教育現場を巡回し、発達検査後の保護者面談などの伴走支援を実施いたします。加えて、不登校や発達障がい、子育てに対して不安のある保護者の皆さんを対象とした相談機関を設置しながら積極的な家庭支援を行ってまいります。
 次は本町の学校給食施設についてです。現在、5小学校と3中学校に給食を提供している給食センターと岩滝小学校の自校給食で児童生徒に対して栄養バランスに配慮した給食を提供しております。しかし、いずれも耐用年数をすでに超過し老朽化が進んでおり、平成21年に改正された学校給食法に基づく学校衛生管理基準にも適合しておらず、早期の改善が求められる状況であります。令和5年度では整備予定地である旧岩屋小学校の校舎解体を進めておりますが、来年度においては新学校給食センターの建設関連工事に着手してまいりたいと考えております。

(環境・暮らしに寄り添うまちづくり)

 令和6年の元旦に発生をいたしました令和6年能登半島地震は震度7を記録し、240名を超える人々の命を奪い、数多くの住民の皆さんの生活を一変させました。お亡くなりになられた皆さんに心から哀悼の誠を捧げるとともに、被災地で厳しい避難生活を余儀なくされている皆さんにお見舞い申し上げます。
 与謝野町役場といたしましては、中長期の視点に立ち京都府などと連携を図りながら求められる支援を提供していくとの方針に基づき、各種支援策を講じているところです。現在までに6名の職員を被災地に派遣し、京都府の支援先である石川県七尾市の小学校の体育館に設置された避難所の支援や石川県能登町の給水応援のための支援業務に従事しております。現地で活動した職員たちの報告から、避難所で生活する人たちは減少傾向にあるようですが、社会インフラの復旧や復興を成し遂げるためには相当の時間を要することとなるだろうと予測しております。
 本町の職員が支援に従事した避難所のボランティア団体のリーダーは、偶然にも昨年の秋に視察で本町を訪れた経験のある20代半ばの男性です。自らも被災者であるにも関わらず、より困っている人たちのためにできることをやりたいという強い気持ちで、復旧に向きあっておられます。このたびの震災は、地域活性化をめざして活動する若者の人生を大きく変えました。しかし、彼らのように厳しい現実を直視し、乗り越えようとする能登の人たちがいる限り、復興は成し遂げられると信じています。
 今月初旬に彼から受け取ったメールにはこう記されていました。「起きてしまったことを悔やまず、今からでも自分にできることを少しずつですが形にしたいと思います。」
 丹後大震災の発生からも間もなく100年を迎えようとしております。能登半島のような大地震がいつ起こってもおかしくないという認識に立ち、住民の皆さんとともに有事の際の行動計画を再確認するとともに、住まいの安全性の確保に向けて、国府と連携しながら住宅等耐震化事業を緊急的に拡充いたします。住民の皆さんにおかれましては、今一度お住まいをご確認いただき、大型家具を固定するなどの小さな対策を積み重ねていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
 令和5年度に発足した農林環境課及び地球温暖化対策室は環境にやさしい自然循環農業をはじめ、阿蘇海の環境づくり、ごみの再資源化や再利用の取り組みを進めると同時に、温室効果ガスの削減、再生可能エネルギーの活動、住民活動への支援など、官民が一体となって脱炭素に向けた取り組みを推進しております。
 発足から1年が経過しようとする中、この間に重ねてきた議論をふまえて、来年度は数多くの新規事業に着手する予定です。林業新規就労者への財政支援や薪ストーブ購入設置費用を補助する制度の新設をはじめとする森林を守るための事業や家庭における地球温暖化防止対策を推進するためのよさの住環境改善省エネ家電買替応援事業が代表的な取り組みとなります。
 公共交通分野においては、与謝野町公共交通会議でめざすべき将来像として「誰もが利用しやすい持続可能な公共交通」を掲げて、議論を積み重ねております。幹線系統の路線は公共交通事業者の皆さんにご協力を得ながら維持していただきながらも、昨年10月には公共交通事業者・地域住民の皆さんのご協力を得て、桑飼エリア・岩屋市場エリア・山田エリア・石川エリアで予約型乗合交通の実証運行を開始することができました。地域の力を結集した事業であり、画期的な第一歩であったと認識しております。
 一昨日、丹後海陸交通株式会社から運転士不足が長期化していることから、丹後地域の路線バスの減便・廃止をせざるを得ないという趣旨のプレスリリースが出されました。当地域でご貢献いただいている公共交通事業者のおかれた状況は極めて厳しいものがあることをふまえ、本町としても適切な対応が求められるものと考えております。
 これまでよりももっと、環境・暮らしに寄り添い、美しくて住みやすい安心安全なまちをつくっていくためには、道路や河川、橋梁、上下水道などの社会基盤整備や消防力の維持が重要となります。これらは比較的大きな予算が必要となりますが、財源確保に努めながら計画的に投資を進めてまいります。

(対話による協働のまちづくり・行財政運営の構築)

 これらの政策を推進していくためには、行財政経営に取り組むことが必要不可欠です。第3次与謝野町行政改革大綱に基づき、基本方針で定めている持続可能な行財政基盤の確立を図るため、①財政の健全化、②選択と集中による行政資源の効率的・効果的な活用、③職員数の適正化と改革人材の育成、④公共施設の減少に取り組んでまいりました。さらには、多様な主体・地域が協働したまちづくりの推進を図るために、①住民主体の地域コミュニティ形成と地域づくり活動の充実、②地域と行政が協働して行うまちづくり・地域づくり、③住民参画による町政の活性化に取り組んでまいりました。
 一定の成果が生まれていると評価しているところですが、これまで実施してきた取り組みを与謝野町役場に集うすべての職員で共有し、さらに深化させることで、未来にもやさしいまちづくりを進めてまいります。

5 むすび

 令和6年度におきましては、住民の皆さんに寄り添い、人・環境・未来にやさしいまちづくりの実現をめざしたいと申し上げてまいりました。そのような強い気持ちで住民の皆さんに向き合ったとしても、私たちではくみ取ることができない想いもあるでしょう。私たちが耳をすませても聞き取り切れない声もあるでしょう。
 議員の皆さん、住民の皆さんのお力をお貸しいただき、真に住民の皆さんに寄り添うやさしいまちづくりを一緒に進めてもらえませんでしょうか。心からお願い申し上げ、令和6年度の施政方針といたします。
 ご清聴いただき、ありがとうございました。

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