令和3年3月4日に開会した与謝野町議会において、山添町長が述べた「令和3年度施政方針」をお知らせします。
はじめに
新型コロナウイルス感染症が日本国内で確認されてから1年と2ヶ月が、与謝野町内で初めての罹患者を確認してから11ヶ月が経とうとしています。
「百年に一度の公衆衛生上の危機」と言われ、手洗い、うがい、検温、マスクの着用、身の回りの消毒、部屋の換気、人と人との接触や面会を控えるといったことが、当たり前の行為として定着いたしました。与謝野町民の皆様におかれましては、感染症を拡大させないための努力を重ねていただいていることに対し、医療福祉従事者の皆様においては安定的な医療福祉体制の運営にご尽力いただいていることに対し、改めて、心より御礼申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、「自分や家族に感染しないか」という不安や、事業の売り上げ低下による経済的な心労、外出自粛による行動制限がもたらすストレスなどが影響し、地域社会においても様々な格差が生じるのではないかと強く懸念しています。
私は、町長に就任して以来、自身のマニフェストと住民の皆様とともに策定した与謝野町総合計画との整合を図りながらまちづくりを推進してきました。そして、百年に一度の危機に対しては、全職員と心と力を合わせてあらゆる施策を総動員し全力で取り組んできたところです。
これまでの歩みを踏まえ、住民の皆様の命と健康を支え、暮らしと経済を守り抜くことを最優先事項として取り組むとともに、ポストコロナ社会を見据えたまちづくりを力強く推進する決意です。
変化する社会
新型コロナウイルス感染症は社会に大きな変化をもたらしました。
全国各地で外出の自粛、飲食店の営業時間短縮、テレワークの推進など、人と人が接触する機会をできるだけ減らす社会的距離戦略、いわゆるソーシャルディスタンスが実施されています。飲食店や観光業界への打撃、非正規雇用の雇い止めの加速、農業・水産・飲食店営業自粛に伴う供給過剰、学校の休校など、あらゆる分野に影響が及んでおり、これまでの日常が大きく変化いたしました。
与謝野町においても様々な変化が現場で生じています。町内の保育所・こども園は、従来の形を大きく阻害しない形で園を運営していますが、子どもたちは小さいながらも様々な情報を察知し、「コロナ」と言う言葉を知り、「コロナは悪いものだ」と理解しています。保育現場では「コロナをやっつけろ!」と言う言葉をよく耳にするようになりました。
小・中学校では、接触・密着・発言等の制限をしながらの授業、学校行事や児童会活動の中止や形を変えての開催など、教職員の皆様には創意工夫を凝らしていただきながら学校運営を行なっていただいています。しかし、子どもたちにとっては一度しかない学年であり、学習や時期に応じた行事などの機会を少なからず奪われたように感じる児童・生徒が多くおり、子どもたちの思考に大きく影響を及ぼしているのではないかと危惧しています。
地域医療や高齢者福祉の分野におきましても、医療機関の受診、在宅介護サービスの利用、地域サロン参加のいずれも自粛されるなど、心身ともに活動性が低く、閉じこもりがちになり、体力の低下や認知症の進行も懸念されると聞いています。また、ご家族に会えない精神不安からの意欲低下も見られ、ご本人、ご家族ともに寂しく辛い状況であると認識しています。さらに、障がい者福祉の分野においても、意思疎通の制限によりスムーズなコミュニケーションが難しくなり、障がいのある方、支援者、施設従事者など、時間的にも精神的にも大きな負担がかかっている状況となっています。
幸いにも、外出自粛要請等による環境変化を原因としたDVや児童虐待の増加といった事象は本町では確認していない状況ですが、これまで申し上げてきたように弱い立場にある方々には大きな影響が及んでおります。感染すると重症化するリスクが高い高齢者や障がいのある人を支える福祉施設や医療施設が利用者に寄り添い、正常に運営されるよう、地域社会全体で支えていく必要があります。
産業分野においては、飲食店、織物業をはじめ、商業・工業・サービス業で売り上げが減少しており、緊急事態宣言下では飲食店、旅館、ホテルの閉鎖などに伴う納品業者売上減少率が80%の事業者もあると把握しております。また、織物業を中心に事業継続が困難な見通しをお持ちの事業者も相当数あるとのデータもあり、本町の経済・雇用の状況は非常に厳しいものと認識しています。
観光分野においては、密を避け個人旅行が中心となっています。旧尾藤家住宅や旧加悦町役場庁舎でも団体でお越しになる来訪者はほぼなくなり、個人数名で来場される方で占められている状況です。
一方で、屋外空間が、密集・密接・密閉の3密を避けることができる最適な場所との認識が深まり、多くの方々が阿蘇シーサイドパークや野田川森林公園などの公園に出かけ、家族でピクニックを楽しまれるなど、思い思いに過ごされている様子を見かけるようになりました。さらに、加悦双峰公園や大内峠一字観公園などのキャンプ場には、地域外からのお客様に多くご利用いただいております。このことは都会の3密や喧騒を離れ、自然豊かで広々とした空間を楽しみたいという気持ちの高まりであると考えています。
与謝野町のめざす姿
私たちは急速に様々な変化を余儀なくされました。コロナ禍の我が国では、テレワークやオンライン会議などの新しいコミュニケーションツールの活用をはじめ、新しい生活様式やビジネス、これまでとは異なる新たな価値観が台頭しています。
感染者接触アプリの運用、オンライン診療の開始、キャッシュレス決済やオンライン授業など、デジタル技術の普及により、デジタル化できないアナログや、まさに本物に価値があることや、人と人との絆や地域とのつながりがとても貴重であることを再認識いたしました。
また、今後、都市一極集中から地方分散・ネットワーク型社会への転換が進むことが予想されています。地方で生活していても大都市圏と協働や連携、仕事と家庭・子育て・介護が両立しやすい社会、自由で弾力的な働き方が実現していくものと考えています。
このように、新型コロナ感染症が落ち着いた後も、社会が「コロナが流行する前の状態」に戻ることはないと認識しています。
私たちのまち・与謝野町においても、感染症が流行する前に戻るのではなく、コロナ禍の変化を受け入れ、しなやかに変化しなければなりません。この変えていく勇気こそが、困難な時代を切り拓く力となり、希望をつくりだします。令和3年度は、誰もが希望を持ち、誰にでも優しく、ポストコロナを見据えてポジティブに変化するまちをめざします。
WITHコロナ・POSTコロナ~希望の与謝野を実現する~
新型コロナウイルス感染症拡大を防止する
新型コロナウイルス対策の切り札と言われているワクチンの接種を開始することができる段階となりました。本年に入ってから、新型コロナウイルスワクチン接種プロジェクトチームを設置し、安全かつ迅速に事業を進められるように与謝医師会との調整を図ってまいりました。
新年度に入ってから、地域のかかりつけ医での個別接種とわーくぱるを基本の会場とする集団接種を開始するべく準備を進めています。様々な制約がある中、すべての住民の皆様にワクチン接種を短期間で完了することは難しく、集団免疫の獲得、有効な治療方法の確立にも時間がかかると言われています。さらに、京都府内でも変異株が確認されるなど、新型コロナウイルス感染症の脅威は形を変えながら、数年にわたり影響を及ぼすと認識しています。その脅威は、高齢者や疾患のある方などに及びやすいことから、関連する施設におけるPCR検査体制の強化を支援してまいります。
私たちは、新型コロナ対策の知識や知見を得ていますが、まだまだ安心して暮らせる状況にはないことから、令和3年度も関係機関と連携を密にしながら、住民の皆様の命と健康を守ることと感染拡大の防止に取り組んでまいります。
社会的に立場の弱い人たちに寄り添う
私は、これまでから、個人の多様性が尊重されお互いを思いやる優しい地域社会の確立、ライフステージに応じた切れ目のない社会保障の推進を重視してきました。コロナ禍においては、障がい者、高齢者、子ども等、社会的に立場の弱い人たちに大きな影響を及ぼしていることを踏まえ、真に寄り添った支援が必要です。
障がいのある方に対しては、民間事業者の皆様との連携のもと、各施設において、一人ひとりに寄り添い、利用者の労働・発達・生活を保障しながら、生きがいをもって生活できるよう、支援サービスを提供していただいています。持続的で安定したサービスを提供いただけるよう、民間事業者の皆様を全力で支援いたします。
また、今般のコロナ禍のような災害級の状況においては、正確な情報を欲しいタイミングで得ることが大変重要です。しかし、視聴覚に障がいをお持ちの方は情報を入手することが不得手であるため、情報格差を是正するための環境整備を図ります。
ひきこもりや不登校などが原因で長く職に就くことができなかった方々に対しては、地域社会とのむすびつきをつくろうと、ご本人と支援者がともに粘り強く取り組んできました。これまでから居場所をつくり、就労準備支援やステップアップ就労につなげてきましたが、令和3年度は、居場所を新たに1ヶ所増設し、取り組みを充実いたします。
超高齢化社会の流れは確実に進んでいます。令和3年2月末時点の住民基本台帳によると、65歳以上の高齢化率が37%となっています。少子化により率が上昇していますが、実人数は横ばいから減少ステージに入りつつある段階となりました。一人の成人が支える高齢者の人数は上昇傾向にあるものの、すべての高齢者が住み慣れた地域で健康に暮らし続けていくためには、健康づくり事業、認知症対策、介護支援、地域医療体制の確保・充実は欠かせません。
これまでから、福祉事業所・医療機関の皆様との連携のもと、総合的な対策を講じてきましたが、安定してサービスを提供していただけるよう、民間事業者を力強く支援します。来年度の具体事業のひとつとして、お弁当をご自宅にお届けする宅食サービスの安定的な提供体制の構築を目指し、高齢者の健康を支えていきます。
子どもたちの夢と希望を応援する
子育て環境については、更なる充実を行います。すべての子どもが無条件で愛され、子育て中のご家庭の不安を解消していくためには、妊娠前・妊娠期からの継続的な支援や父親が積極的に育児参加し、家族全体で子育てする楽しみを醸成することと、地域社会で子育てを応援する体制づくりを強化することが重要です。近年、不妊治療・産後ケア・病児病後児対応・子どもの居場所づくりなど、きめ細やかな事業を展開し、子育て世代の満足度は一定程度向上しているものと把握しています。
令和3年度は、子育て世代が地域全体で包まれながら、安心して妊娠・出産、子育てができる環境をより一層実現するために、妊娠・出産・就学前・就学後の子育てにおける切れ目のないきめ細やかな支援を提供する拠点・「与謝野町子育て世代包括支援センター」を子育て応援課内に設置します。
近年、発達に特徴のみられる子どもが増加しています。本人や保護者の不安や悩みに寄り添い、迅速に相談機関や医療、療育等専門機関につなぐため、専門職のネットワーク会議を発足させ、既存のサービスや体制の活用・見直し・充実を行います。子どもたちの発達の状態は一人ひとり異なります。発達の課題としてとらえるのではなく、個性として受け入れていくことが重要であると考えます。
子育て支援センターやこども園・保育所につきましては、感染症拡大防止対策を徹底し、子どもたちが安心して過ごせる保育教育施設として運営します。現在建築中の加悦地域の認定こども園新築工事を進めて来年度内の開園をめざすとともに、NPO法人こどもの森保育園による小規模保育所の設置に対して支援いたします。地域社会全体で保育教育基盤をバランスよく整え、公設公営・民設民営、それぞれの場所で子どもたちの笑い声が響くために、取り組んでまいります。
小学校・中学校については、感染症拡大防止対策を徹底し、コロナ禍においても、一人ひとりの児童生徒に寄り添った学習機会の提供や心身のケアをはじめとし、安定的な学校運営に努めます。令和3年度からは、GIGAスクール構想の土台である「児童生徒向け1人1台端末」と「高速大容量の通信ネットワーク」などの教育ICT環境の活用が始まります。
変化の激しい時代を生き抜くためには従来の一斉教育だけではなく、多様な児童生徒を誰一人取り残すことのない、公正で個別最適化された創造性を育む教育の実現が重要であり、手段としてのICT教育で次世代の人材を育てる必要があります。このICT環境を活かして子どもたちに指導いただくのは教職員の皆様ですので、ICT支援員を配置し、的確にサポートします。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、子どもたちの学習や生活、心に大きな影響を与えました。過ぎた時間を取り戻すことはできません。これからの人生を豊かな心で生きていくために、私たち大人が今、できることがあります。
私たちは、コロナ禍で影響を受けた子どもたちに真心を込めて寄り添います。一人ひとりが持つ純真な夢と希望の実現に向けて、町を挙げてバックアップする「小中高生夢応援プロジェクト」や、令和2年度に引き続き、子どもたちが体験を通じて学びを深める機会を創出する「子どもの好奇心を育むプロジェクト」を実施します。
暮らしと経済を守る
2月末、町内の事業者を中心に構成する「与謝野町産業振興会議」から、持続可能な与謝野の産業をつくるための産業振興に関する提言書を受け取りました。提言書では、本町の大多数の事業者が中小企業、小規模事業者であり、地域経済・地域社会を支える重要な役割を担っていることを踏まえ、持続可能な与謝野の産業をつくるためには中小企業、小規模事業者の発展が不可欠とされ、行政にも事業者の力を引き出す環境整備に力強く取り組むことを期待されています。
現在、コロナ禍の長期化により、町内の事業者は、飲食業者に限らず関連業者をはじめ全業種に渡り大きな打撃を受けており、将来を見通すことができない事業者も多数おられる状況と認識しています。厳しい状況を直視し、住民生活支援や地域内経済の循環を目的とした住民生活支援商品券事業を展開し、公共事業の受注機会を増やし、町の経済状況を下支えいたします。
2月上旬、桜の六次産業化をめざす新法人の設立総会が開催されました。遡ること3年前、与謝野町を日本一の桜の町にしたいという思いをもつ商店主の呼びかけで、多くの応援者の協力を得て、桜の木の定植が始まり、この間、定植面積を増やすだけではなく、桜を通じた地域振興のあり方などを学んでこられました。設立された会社では、食用桜を「京都よさのブランド」として出荷する予定とされており地域の雇用を生み出し、地域内の農商観連携にも期待できます。そして何より、コロナ禍の苦しい時に一歩ふみだすチャレンジングな姿勢に大きな価値があると考えます。
令和3年度は、中小企業振興基本条例の理念に沿う取り組みとして、創業支援・新商品発・国内・海外販路開拓支援などの産業全般の更なる支援を行うとともに、WITHコロナ・POSTコロナを見据えたチャレンジへの支援を拡充し、持続可能な産業構築をめざします。
2つの地場産業に対する支援も継続します。世界最高峰のテキスタイルを生み出している唯一無二の場所が京都府丹後半島です。独特の織物技術を受け継ぎ、更なる高みをめざしています。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、社会全体のオンライン化が急速に進んだことにより、ものづくりの現場が創造しなければならない価値も変化していると認識しています。そのような中、圧倒的な美しさと強烈な個性を兼ね備えたプロダクトを生み出す丹後テキスタイルの可能性はますます広がっており、京都府や関連団体を中心に「シルクテキスタイル・グローバル推進コンソーシアム」が設置され、西陣織、京友禅、丹後ちりめんの3つの産地の連携によるマーケット開拓等が推進されます。本町もこの取り組みと連携するとともに、引き続き設備投資支援・担い手育成及び確保事業を推進します。
さらに、町内の織物事業者、京都芸術大学等との連携主体を立ち上げ、織物技能訓練センターと染色センターを拠点として、野田川・加悦エリアに集中的に学生・若者を集め、町内事業者の洗練された技術を掘り下げ、新しい製品の創造、ブランド化活動を通じてテキスタイル産地の発信、次代を担う産業人材の確保を進めます。
自然循環農業によるコメ作りやホップ栽培は国内外から注目をいただくようになりました。与謝野町の美しい農業を持続可能な産業として確立し、稲作を中心とする農文化と農地を守るために積極果敢な施策を展開していきます。天然素材で製造する京の豆っこ肥料を使用した京の豆っこ米は海外輸出が増大している状況です。全国的にはこれまでからの米の需要減に加え、新型コロナウイルス感染症が影響し需要が減ったことなどにより、米の在庫が増える傾向にあります。
このような中、昨年末、トヨタ自動車アグリバイオ事業部と「農業の収益力確保と人材育成に関する協定」を締結しました。世界のトヨタが実践する生産方式の考え方を活かしながら、農業の生産性の向上とコスト削減・京の豆っこ肥料製造工場の改善・ホップの在庫管理と改善等に取り組みます。
ホップについては、2015年に栽培が始まって以降、少しずつ栽培面積や収穫量が増え、マイクロブリュワリーにホップを提供する日本有数の生産地に成長いたしました。与謝野ホップの産地として認知度が高まったことに加えて、喜ばしいことにクラフトビールメーカーも町内に誕生しました。令和3年度は、ホップを通じた交流人口の増加や六次産業化への取り組みにつながる活動を支援します。
ポストコロナの社会経済活動を構築・牽引する
本町には、人口減少を背景に多くの空き家が存在しています。この空き家の一つであった旧料亭が、クリエイティブなコミュニティを育む場所として生まれ変わろうとしています。京都市内に本社を置く先駆的な会社に参入いただき、場づくりとネットワークづくりが始まっています。官民連携によって、地元の人と技や地域外のクリエイティブ人材が交差する場所になるよう期待しています。
この施設には同社によってテレワーク設備が整備され、サテライトオフィスとしても活用されると聞いています。コロナ禍において、人々の関心が地域に寄せられている今、この機を逃さず、都市部に本社を置く企業のサテライト誘致や子育て世帯をメインターゲットとして移住促進を図ります。
また、移住に至らずとも与謝野に興味を持っていただき、人とのつながりを生み出すことは、人口減少が進む本町にとってとても重要な施策です。与謝野には世界に誇れるテキスタイル産業、自然循環農業、ホップをはじめ、重要伝統的建造物群保存地区のちりめん街道、旧加悦鉄道SL車両、古墳群、伝統芸能等、きらりと光るコンテンツは豊富に存在しています。旧加悦町役場庁舎、かや山の家も魅力的な施設に生まれ変わりました。これらにさらに食と人の魅力が加わることによって、持続的な観光振興や関係人口を生み出すことができると考えており、より一層の与謝野のファンづくりを推進します。
昨年10月初旬、阿蘇シーサイドパークにおいて、地元の飲食店の皆さんが中心となり、テントやキッチンカーで自慢の一品を提供する阿蘇シーサイドピクニックが開催され、多くの方で賑わいました。新型コロナウイルス感染症の流行を経験して、社会のあり方が変化し、密を避けることができる屋外空間の活用はますます多様化していくと考えます。この阿蘇シーサイドパークをはじめ、与謝野に存在する魅力的な屋外空間であります大内峠一字観公園、野田川森林公園、加悦双峰公園、かや道の駅により多くの方に足を運んでいただけるよう施設の充実を図ります。
持続可能な行政経営
持続可能な行財政基盤の確立
まちづくりの施策を支える与謝野町の財政状況は、新型コロナウイルス感染症の影響による景気の低迷を反映し、税収の減少を見込む一方、社会保障関係経費の増加が見込まれています。財政構造は、歳入総額の約20%が自主財源、約80%が依存財源と大きな改善の見通しはなく、極めて厳しい財政運営が続くと予測しています。中でも、「実質的な借金返済額」が、「標準的な財政規模」のどれくらいを占めているか示す実質公債費比率が、起債の発行に許可が必要となる18%に近づいており、今後も予断を許さない状況となっています。
令和3年度は、公債費の上限を14億円に設定するとともに、特別会計への繰出金の適正化、公共料金の適正化、公共施設の適正配置など、第3次行政改革大綱に示されている方針と取り組みを確実に実行していくことによって、本議会でお示しする財政計画により、将来にわたり健全性を確保します。
住民参画のまちづくり
3つの「み」。「みんな」、「みらい」、「みえる」は、第2次与謝野町総合計画に掲げるまちづくりの基本理念です。「みんな」はみんなの手で進めるまちづくり、「みらい」は未来志向のまちづくり、「みえる」はまちの資源や動きがみえるまちづくりを進めるとしています。
現在、ヒト・モノ・カネといったまちづくりに必要な行政資源は縮減していく状況にあります。今後は限られた行政資源の中で、持続可能な行財政の実現と総合計画の実現の両方を目指すためには、まさに「みんな・みらい・みえる」の基本理念に基づきまちくりを推進すべきです。
地方自治の本旨は、「住民自治」と「団体自治」の両方を含むものです。自治体が「団体自治」としてまちづくりを実行する際、行政資源をどこに・どのように投入するか、投入した結果、どのような成果が出たか、といった企画立案、進捗確認段階に住民の皆様にご参画いただき、納得感を得てまちづくりを進めることが重要です。
まちの情報を誰でもいつでもどこでも得られるように、広報誌や有線テレビ、ホームページ、SNSサービス等の様々な手段で情報を発信するとともに、住民と行政の対話を行い、これまで以上に双方向のコミュニケーションによるまちづくりを進めます。
むすび
以上が、令和3年度の町政運営に対する私の基本的な考えです。
3月議会定例会には、只今申し上げました方針に基づき、令和2年度3月補正予算と令和3度当初予算を、国の経済対策を活用しながら13ヶ月予算として編成した予算(案)を提案させていただきます。議員の皆様と議論を尽くすために、誠心誠意、説明責任を果たしてまいりますので、格段のご理解とご協力をお願い申し上げます。
11ヵ月前、初めて町内で新型コロナウイルスに感染された方々を守ろうと呼びかけた人たち。危機的な経済状況の中にあっても、新たな事業を創造し挑戦する人たち。遠く離れた場所で生活していながらも、ふるさとの家族を想い続ける人たち。我々大人がコロナをやっつけてくれると信じている子どもたち。
厳しい時代にあっても、自らの責務に向き合い、他者を思いやり信じることができるのが、与謝野町民の皆様です。私は、皆様とであれば前へ進むことができると確信しています。住民の皆様、議員の皆様、未来への希望をともに切り拓いてまいりましょう。ご清聴ありがとうございました。