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【よさのみらい大学講座レポート】酢を造るといふ仕事

最終更新2023年04月01日(土) 10時00分
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酢を造るといふ仕事 お酢をつくっているんじゃない、未来をつくってるんだ ~五代目の挑戦~
講師 飯尾醸造 5代目当主 飯尾 彰浩 氏
日時 2018年2月20日(火)19:00~21:15
会場 知遊館
参加者 79名

今回は講師に飯尾醸造5代目の飯尾彰浩氏をお招きし、飯尾氏が挑戦されているビジネスの考え方から地域の未来づくりにいたるまでお話を伺いました。

 

企業の理念を飯尾氏は「社員や地元がワクワクできるようなことを目指す」と語りました。
そして自身は4つの肩書きを持つ飯尾氏。当主であり、店主であり、キングであり、所長である。

終始ワクワクさせられる話運びに参加者も集中し話に夢中になります。

講座の様子

講座の様子

創業120年の飯尾醸造。社員数は30名。大手メーカーと比較すると生産量は少なく、その結果、金額にすると他メーカーより高いお酢を売っていることになります。
そこで飯尾醸造が大切にしたのは「品質」。農薬を一切使わずに酒米を作りそしてお酢を生み出す。しかし無農薬栽培は通常の生産よりコストも手間もかかります。酒米を育てる契約農家の負担を減らすためにも飯尾醸造自体で様々な農法を試し、契約農家と一緒に少しでも生産の負担を減らすために活動を続けてきました。また、ただでさえ手間のかかる無農薬栽培をお願いしているので契約農家の収入自体が増えるようにできた酒米は高い金額で買い取り、更に生産コストを減らすために機材を提供し一般の農家よりも収入が増えるような仕組みを作りました。その結果、契約農家は一般的な農家よりも高い収入を得ることに成功。そしてそんな大切な米作りの環境が失われないよう自社で棚田栽培にも参入します。農業に携わるのはお酢を作っている社員の蔵人。里山の景観保全のために手植え、手刈りを行いました。米作りの経験のない蔵人が飯尾氏と共にイチから米作りに挑戦します。

 

東京からUターンし五代目を襲名した飯尾氏には棚田の大変な作業も格好よく映ったと言います。そして飯尾氏は蔵人達と一緒に米作りに関わっていきました。その中で飯尾氏が始めた田植え体験は今も続いています。「自分たちからしたら大変な田植えも都会の人や田植え経験のない人からしたらきっと楽しいに違いない。」ということで「田植えって楽しいからやってみませんか?」という打ち出し方で体験型として募集。6~7日間の工程の好きなところで参加できる取り組みに全国からナント200人も参加したという。

 

飯尾氏は「FUN=FAN」であると語ります。楽しい時間の共有がその商品や企業のファンに繋がる。お客様は作り手の顔が見えて、作り手はお客様の笑顔が見える。それが作り手のやりがいにつながり、体験会はなによりの発表会となったそうです。


飯尾氏はファンづくりに大切なこととして
信頼:安心
愛着:顔がみえる
共感:ええこと
と提唱しています。これは様々な産業や取り組みでも全て同じであると説明されました。

講師の飯尾さん

講師の飯尾さん

そして、飯尾醸造の経営に携わり始めた時に感じた課題やそれに対してどのような戦略で解決していったのか?紹介が続きます。


作ったお酢のほとんどを問屋へ出していた商いの手法から原価計算を再度やり直し直接的な販路で商品を安くせずに販売する方法を模索します。


どのようにお客様に近づき、繋がっていくか。
HPづくりやブログの更新、蔵見学、レシピの公開、奇跡のリンゴとのタイアップ等様々な手法を取り入れていった結果、個人消費者への販売(小売も含める)が全体の1/4まで上がります。利益幅が伸びることでこれ以上の値上げをしなくてよくなりました。

 

その後は新製品作りも進みます。人気商品の「ピクルス酢」は「ECOな酢」をテーマに開発しました。残飯の多いことが社会課題とされている中、自社商品でその社会課題にどのように貢献できるか?残飯にならないよう食材の残りを専用の酢に付け込んで簡単にピクルスにしてしまうという発想です。飯尾氏は商品開発する際のポイントとしてもメインではなく少しずらして考える(支流の部分で強く生きていく)こと。そしてメディアや口コミで扱ってもらうには大儀(社会性)が大事で新しいジャンル(新規性)かどうかが重要だと話します。

 

また、一方でメディアとの関係性の作り方としては、「メディアの仕事を手伝うこと」と説明されました。メディアは良い番組を作りたい、しかし時間や予算がないという課題を持っていることが多い。こちらでメディア側が良い番組作りに活かせるようなネタを提供してあげることで「便利」な存在になる。その結果メディア側との信頼関係、パートナーシップが育まれ自社にも良い影響を生み出していくとのことでした。

受講生の様子

受講生の様子

そして後半も様々な活動が紹介されました。


江戸前シャリ研究所の所長であり、究極の手巻きずしを広める「テマキング」として活動している飯尾氏は年間50回の手巻き寿司パーティーを実施し延べ2500人がパーティーに参加した実績を持っています。また、東京の丸の内で働く社会人を対象としたプロジェクト「丸の内朝大学」にて「世界に繋がる手巻き寿司クラス」の講師として登壇するなど普及活動は更に広がっていきます。大学の講座は全4回で参加費は2万円。しかも内1回は宮津市で開催されるというもの。その講座の参加者は30名。そしてなんと宮津市で行われた講座には東京から23名が来訪しました。「地域に来てもらうことがゴールでそれがなくては意味がない」と飯尾氏は語ります。来年にも「世界シャリサミット」を宮津で行う予定とのこと。


発表されている観光データを見ても地域での消費額は京都市内17000円、宮津市3000円、京丹後3000円、伊根町1500円、与謝野800円となっている。やはり地域に人を呼び込んでお金を落としてもらうことが必要。その為には地域の中で競合せずに隙間の部分を担って地域全体が盛り上がり儲かっていけばいい。宮津市内にイタリア料理のお店「aceto」を立ち上げ「丹後をサンセバスチャンに!」と東京で豪語しているのも注目を集め、盛り上がりを醸成させることが目的だと説明されました。

話をする講師の様子

話をする講師の様子

様々なビジネス戦略を学び、実践する飯尾氏も大切にされていることは「三方良し」お客様と売り手、そして地域を含めた社会が全て良い状態であること。自らの会社そして経営戦略をわかりやすく丁寧におしげもなく説明された心意気に参加者からは感謝と高い評価が集まりました。

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