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【よさのみらい大学講座レポート】新型コロナウイルスから学ぶ ウイルスとの共生

最終更新2023年04月01日(土) 10時00分
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新型コロナウイルスから学ぶ ウイルスとの共生
講師 京都大学医生物学研究所 准教授・獣医学博士 
宮沢 孝幸 氏
日時 2022年10月22日 14:00〜15:30
会場 与謝野町立生涯学習センター知遊館 あじさいホール
参加者 48名
講師の宮沢氏

講師の宮沢氏

今回の講義では、京都大学医生物学研究所の宮沢孝幸氏を講師に迎え、ウイルスの本来の存在意義やコロナウイルスの基礎知識について、お話していただきました。

宮沢先生は、まずご自身の経歴を紹介。
ユーモアたっぷりの話し口調に会場は開始直後から笑いに包まれていました。

スライドを見せながら説明する講師

スライドを見せながら説明する講師

「ウイルス研究者には、獣医が多い」と説明する宮沢先生。「先進国では随分とワクチンの対応などで感染症も少なくなったが、家畜、牛、豚、犬、猫、等の動物において、感染症、ウイルス、寄生虫などの問題はまだまだあり、獣医としては研究することがたくさんある」と話され、動物から人に感染する病気もあり、公衆衛生上大事なので、人に感染する病気も研究しているそうです。

今回、新型コロナウイルスが話題になりましたが、講師は「動物から人間に感染するウイルスは日常茶飯事にあり、流行るか流行らないかで、毎年4個から5個くらいの新しい病気がヒトにやって来ている、多くの新興ウイルス感染症は、野生の元の動物では病気が発生していなかったりする」「次々に現れるウイルスに対応するためには、病原性ウイルスのみならず、非病原性ウイルスの網羅的な研究をしていくことは、将来発生するであろう新興ウイルス感染症を予測する上で必要だと考えられる」と話します。

ウイルスについて説明する講師

ウイルスについて説明する講師

宮沢先生は会場でスライドを用いながら「ウイルスは、細胞から飛び出てくる時、出てくるその人の細胞の膜をかぶっている、だから個性がある」「遺伝的には全く同じでも、出てくるウイルスは異なり、ウイルスは体の中で無限の種類になり、それぞれ個性がある」と話します。「複製する時に、必ずといっていいほどエラーを起こしてダメになるが、たまにエラーを起こさないものがあり、それが増えていくことになる。体の中でいたるところで増え、鼻や喉、腸など(リンパ球から飛び出てくるウイルス、肺の上皮から飛び出たウイルス、腸管上皮から飛び出たウイルス)場所によって、増えるウイルスは異なり、その場所で増えやすいものが増えていくことになる」と講師は受講生に説明します。

新型コロナウイルスをきっかけによく耳にするようになった「withコロナ」という言葉。講師は「もともと我々は、『withコロナ』」だと言います。今、騒ぎになっているコロナウィルスは、ヒトにとっては8番目のコロナウィルスになります。常に5個は存在しており、特別に検査をしていないだけで、コロナウィルスのみならず風邪を引き起こすウィルスは何十個とあり、毎年流行っている、と話されました。

ウイルスによる人間の進化について、私たちの身体がもつ30億にものぼる情報の中、遺伝情報は1%〜2%。遺伝情報のうちの10%にレトロウイルスの配列が入っていると言われており、「哺乳類になる時にウイルスは役立っている」と講師は話します。「哺乳類がもっている胎盤、横隔膜、毛、耳たぶ、耳の構造、皮膚の構造に昔のウイルスが関与していると考えられ、病気を起こすためにウイルスが発生しているのではなく、進化の途中に役立てられるように生まれてきたのだが、相性があって、たまに病気を引き起こしている」と説明されました。

会場の様子

会場の様子

宮沢先生は、最後にウイルスとの共生について、話されました。
「たまに病気を起こすから確かに悪いウイルスかもしれないけれど、もしかすると、すごい病気を防いでくれているといえるのかもしれません。観点の持ち方です。良い悪い、善悪は、人が勝手につけている主観のレッテルです。」
「ウイルスもそうで、ウイルスに、良いも、悪いもありません。ウイルスは、ウイルスであって、良い影響もあれば悪い影響もある。進化に役に立っていることもあります。それを、受け入れるしかないでしょう。」

「ウイルスを撲滅したら我々は生きてはいけません。
ウイルスや細菌が生きる世界の中で、我々は、1個の生命体にすぎません。
ウィルスや細菌がなくなると、いろんな影響をおよぼします。
死ぬのはいやだというのはわかりますが、生物というものは、死ななければ全滅してしまいます。
我々は、リニューアルをしていかないといけないのです。
長生きすれば良いというものでもなく、いかに生きて、かっこよく死ぬかだと私は考えます。
嘘をついたり、つまらないことに執着しない。
それよりもっと本質的な、仲良くするとか、楽しいことするとかを大事にし、正直に生き、かっこよく死にましょうよ、ってことです。」
と、講師は締めくくりました。

講師の言葉に、会場では大きくうなずく受講生の姿もありました。

会場ではたくさんの質問に回答いただきました

会場ではたくさんの質問に回答いただきました

受講生からは「短い時間でしたが、とても濃い内容でした。笑いもあり、楽しい時間でした。」という感想や「学びの多い時間を過ごせました。貴重なお話でした。」「あっという間でした。もっと長い時間、聞きたかったです。」など講演時間を惜しむほどに関心が高まる声がたくさんありました。

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