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【よさのみらい大学講座レポート】私の中の若沖

最終更新2023年04月01日(土) 10時00分
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私の中の若沖
講師 京都国立博物館名誉館員、美術史家 狩野 博幸 氏
日時 2021年07月17日 14:00~15:40
会場 生涯学習センター知遊館
参加者 40名
私の中の若沖

私の中の若沖

若沖の作品紹介の手法について

会場では、スライド映写を活用することで絵画の持つ色合いや雰囲気などをリアルに再現されました。

狩野先生、九州から京都へ

狩野先生は福岡の出身、九州大学で研究をスタートされました。美術研究では西洋美術や仏教美術が研究されています。九州では仏教美術の研究が多く、狩野先生は江戸の浮世絵を選び研究したことで、変わった人だと思われていたそうです。その当時、国文学の中村有紀子先生から「楽しんでこそ学問だ」という言葉をもらい人生観が変わったとのこと。その後縁があって京都へ。京都女子大から国立博物館学芸員へ移り、博物館では生の作品が見られることにワクワクしていたそうです。京都博物館では、色々な企画展を行ってきました。

伊藤若冲との出会い

2000年が伊藤若冲没後200年となったので、展覧会を企画しました。150点ほどの作品を展示、そのうちの1/4は外国から出品されたそうです。その当時は、世間的に伊藤若冲は無名であり、若冲は錦小路の出身であったものの、錦小路の人も良く知りませんでした。名前を見ても「じゃくちゅう」ではなく、「わかおき」と呼ぶ人も多く、その後の、展覧会やインターネットの拡大をきっかけに、若い人を中心に人気が出るようになりました。そういった理由から、講師は若冲ブームの火付け役と言われるようになったそうです。

伊藤若冲の経歴

1716年2月8日生まれ。正徳6年2月8日。
京都高倉錦小路、錦小路と高倉小路が交わるところにある、青物問屋「桝屋」という家に生まれました。その当時、錦小路は問屋街であり、その店先を小売業の店舗に貸していたそうです。

若冲はそういった問屋という特権階級の伊藤家の長男として生まれました。画家の家で生まれたわけではなく、京都のブルジョワの息子として生まれ、絵描きになったのは、とても珍しかったそうです。小さな頃から絵を描くのが好きで、誰かの弟子になるわけでもなく、ほぼ独学で絵を描いたとのこと。誰にも左右されることがない、独立独歩の絵描きとなりました。それが可能だったのは、伊藤家の財力の影響だと考えられます。40歳には弟に家督も譲り、亡くなるまでの45年間絵を描くだけの生活をしていたそうです。

伊藤若冲の絵の特徴

若冲の使用する炭は最高級の炭で、絵具も中国からの輸入品の他、アラビア他の海外から入ってくる高級な材料を使っていました。ラピスラズリの入った高級絵具を活用して美しい青色や、黄銅で金の色を描いていたようです。素材が良いので、薄塗であっても発色の良い絵の具でした。そして、紙については、中国の特別な宣紙(せんし)を使い、贅沢極まりない作品が生まれました。財力を持つ伊藤若冲だからこそ実現した高品質の絵画だと考えられます。

伊藤若冲の代表的な作品「動植綵絵」

天皇家の宮内庁が持つ三の丸尚蔵館には、皇室に代々受け継がれた絵画・書・工芸品などの美術品類が国に寄贈されています。天皇の私物であったものが、国民共有の財産となり、国宝となっています。その中に伊藤若冲の作品「動植綵絵」もあり、若冲は相国寺に絵を寄贈していたようです。合計で30幅が寄贈され、それが美術史で傑作とされる「動植綵絵」と後々呼ばれるようになりました。それらの絵を若冲は京都市内に持つ3つのアトリエで描いていたようです。

伊藤若冲という人、その人柄

1999年、滋賀大学の宇佐美先生の江戸時代の経済に関する論文の中に、「錦小路立ち寄り市場」に関する古文書が掲載されました。当時五条に小さな立ち寄り市場があって、その五条の人たちが奉行所に声をあげて、錦小路に立ち寄り市場があることの根拠について、言いがかりをつけていました。その問題は、足掛け4年かけ解消します。その交渉を「伊藤若冲」が行っていたそうです。その結果、その期間、若冲の作品は発表されていないことがわかっています。若冲は、絵描きでありながらも、いざというときは立ち上がり、命をかけて錦小路を守っていた人物であったことがわかりました。

若冲の絵の解説

丹後から出品された、「龍」の絵は、龍のうろこが炭で表現されています。また、宣紙の質感を活用した贅沢な表現が特徴です。若冲の絵は上質な素材だからこそできる表現が醍醐味であると考えられています。(他作品の解説が続く)

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