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【よさのみらい大学講座レポート】世界自然遺産ガラパゴス諸島の生物たち

最終更新2023年04月01日(土) 10時00分
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世界自然遺産ガラパゴス諸島の生物たち
講師 北海道大学観光学高等研究センター客員教授 真板 昭夫 氏
日時 2019年8月27日(火)19:00 〜 21:00
会場 生涯学習センター知遊館
参加者 40名

自然環境や歴史文化を対象とし、それらを体験し、学ぶとともに、対象となる地域の自然環境や歴史文化の保全に責任を持つ観光のありかたである「エコツーリズム」。そのエコツーリズムの第一人者である真板昭夫先生をお招きし、世界自然遺産ガラパゴス諸島での研究や、国内外での研究を通して地域づくりにもつながるお話を伺いました。

講師の真板昭夫氏

講師の真板昭夫氏

自然環境を守るには!?〜生物学からエコツーリズムへの視点へ〜

真板先生は、もともとは生物学の研究をされていました。
しかし、生物の研究で世界を巡る中、自然環境と人の経済問題を目の当たりにするようになったそうです。
例えば、ワニを研究する場合、現地の方からワニの卵を買います。研究者が卵を買うことで経済が安定し既存の生態は守られます。しかし、研究が終ると地域の方たちは、ワニの毛皮を売ってしまうのでワニの生態が侵されてしまいます。
また、同じように木を海外に輸出することで経済が潤うので、大量の木を伐採して森林が荒れ、そして森に住んできた動物が滅びるという問題も引き起こしていました。
つまり、自然環境を守るには、人の経済の仕組みも考えなくてはならないという問題が見えてきたのです。そこで、「観光」を経済の仕組にと入れる方法が考えられるようになりました。地域の人がガイドをし、ストーリーが見えてくる解説をする、ストーリーを伝えるために、地域の人が中心となって自然を大事にし、未来へつなぐという取り組みが行われています。

試練がないところに進化はない

ガラパゴス諸島は土地の3%だけに人が住み、残りの97%は国立公園で人が勝手に入れないそうです。「進化のゆりかごガラパゴス」と言われるガラパゴス諸島の様々な生き物の魅力や、生態の変化についても紹介されました。

講座の様子

講座の様子

ガラパゴス諸島は、取り残されて進化が遅れているわけではなく、常に新しい生き物が生まれ、変化している場所だそうです。そこでは、過酷な自然の条件下で、「いかに生きるか」という選択が必要です。そして、その選択が変化に繋がっているので、試練がないところに進化はないということがわかります。羽が退化し足が発達した鳥や、メスは卵を産む役で、オスが卵を複数羽で育てる鳥もいます。同じ種類でも生息する自然環境によって食べ物が変わり、その食べ物を食べやすいようにクチバシの形が異なる鳥もいます。離島では、限られた場所の中でいかに生息するかを求め「適応放散」が起こりやすいのだそうです。
そして、植物でも同じような変化が起きています。スミレは太陽の光をより多く受けるところでは樹木のように育ち、寒いところでは小さい丈にとどまり毛を生やすものがあります。また、サボテンでも捕食するゾウガメの生息する箇所に合わせて形が異なります。更には、ゾウガメに食べられないよう背が高くなったとしても、実は落としてゾウガメに食べてもらい糞を栄養に変え、生存を拡げようとするサボテンもあります。生きるための支援や変化を理解しているようです。

エコツーリズムの仕組づくり

それでは、このような豊かな生態系が織りなされるガラパゴス諸島の自然をどうやって未来へつなげていくのか。地域住民が主体になって動く「観光」の仕組には、厳しい条件や規制も敷かれています。
自然を保護するための開発制御、5ヶ国語を話すナチュラリストガイドの存在、運航できる船の限定やスケジュール調整、厳重な検疫、高額の入園料、島に入るごとに入島者についている外の土を洗い落とす決まりの徹底などがあります。閉じるところと開くところを明確にし、住民側が観光客をコントロールし、上質な来客だけを受け入れるようにしています。
それでも、観光客のコントロールだけでは、自然を守りきることはできないのです。
既に持ち込まれてしまった外来種の強さや、地域住民の生活から出てくる外来種の生態(虫や植物)は、人間の住居区域を限定したとしても、鳥を介して区域を超えて拡散することもあります。つまり、力を入れて外部から環境保護に取り組んでも、もっと地域住民一人一人が主体的になって取り組まなければ問題は解決しないことが分かってきました。

講座の様子

講座の様子

そこで、人間も含んだ社会的生態系として捉えようという考えが出てきました。保護区と人間の居住区を区切って守るのではなく、人間と動物を区別することなく、それぞれの生態系を一緒に守る為の方法や仕組みをつくる計画が進んでいます。
この仕組づくりには島全体の住民が関わっています。子どもからおじいちゃん、おばあちゃん、漁民、商工会、観光協会、みんなが社会的生態系システムについて語れるようになっているのです。

真板先生は最後に、「このガラパゴスでの取り組みを参考にし、是非与謝野町でも、社会的生態系システムを考え、町民の一人一人が与謝野町にある素晴らしいものを見つけて、それを活用して未来の子ども達へつなぐという仕組を、みんなが手を取り合いながら考えて頂きたい」というメッセージを贈られました。

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