講師 | 第一プログレス 常務取締役 TURNSプロデューサー 堀口 正裕 氏 |
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日時 | 2018年10月21日(日)① 16:00~17:30、② 18:00~20:00 2018年11月10日(土)③ 16:00~17:30、④ 18:00~20:00 |
会場 | 産業創出交流センター |
参加者 | 74名 |
講座の様子
この講座は、昨年度開催の講座「地域の魅力をうまく発信する方法」の流れをくむ講座としてTURNSプロデューサーの堀口正裕さんを講師招聘し、地域づくりに興味がある人を対象に実践者による事例紹介とともに、受講生とワークショップを通して自らが考える講座として、下記の内容について学びました。
① 講義:これからの地域との繋がり方について
② ワークショップ:地域との繋がり方を考える
③ 講義:繋がりたくなる、関わりたくなる地域事例
④ ワークショップ:関わりたくなるまちになるには?
現在、896の市町村が消滅自治体と表現され、地域を持続させていくために、多くの自治体がその方法を模索、検討しているといいます。今回の講座では、移住定住を大きなテーマにおき、その切っ掛けとなる「繋がりをうむ」ためにはどんなことが必要なのか、数々の地域事例を参考に自分たちで考え、受講者自身が行動していくことへつなげることを目的に開講されました。
講師の堀口正裕氏
講師は講義の中で、移住定住のきっかけと言われている「関係人口」、地域のイベントや事業、プロジェクトに関わってくれる人のことを「プロジェクト人口」と、呼び方は様々ですが地域の「ファンになってもらう」切っ掛けづくりが、いまの地域づくりでは最重要なことであるといわれました。そして、そのファンが継続的に地域に関わる方法として、現在のように自分らしい生き方を大切するなどの多様化が進んでいる中にあっても、その人たちを巻き込むことのできる地域プロジェクトを「地域が作っていける」のかがキーになるといわれました。まずは地域の大人がまちづくりを楽しみ、その姿を見た地域の子どもが「魅力的な地域だ」と思っていく。この「良い」連鎖を生みだすことが、地域外の人から「選ばれる地域」になり、「一緒になにかを実現したい」、「地域の役に立ちたい」といった「想い」を芽生えさせ、積極的に外部の力を取り入れることへ努力していくことが地域の持続可能性を高める結果に繋がっていくと述べられました。
これらの地域づくりの先進事例として、兵庫県加古川市では、地元の高校生が自ら加古川を舞台にした映画作りに参加し、地元の若者に刺激を与えることを目標に活動し、地元の若者と行政が一緒に楽しみ、イキイキと映画をつくっていく関係性に対して産業や専門家が支援しています。また、山口県下関市の向津具(むかつく)半島では日本酒の大吟醸「むかつく」を地域おこし協力隊と地域の人々と、34年ぶりに復活した隣まちの酒蔵と共に作りました。地域の資源を磨きあげ、実現したい思いを共有し繋がり実現した地域づくりです。移住者である「外」の人の感覚で「面白い!」と思ったことを地域の人たちと共有し巻き込みながら実現していると、他に徳島県の「藍染め」や岐阜県の飛騨の里山サイクリングツアーガイドを行いながら「クールな田舎をプロデュース」している方などの事例が紹介されました。
また、全国の8自治体で行っている「ふるさと住民票」という取り組みでは、住んでいる地域以外の「第二のふるさと」にしたいと思える地域に登録することができる制度があり、実際には住んでいないけど、その地域への関わりとして、公共施設の住民料金での利用、祭りや伝統行事の紹介・参加案内、パブリックコメント、住民投票への参加などが認められます。これは、地域に必要な仕事や技術、介護サービス、災害時のサポートなど外からの応援を得ることが目的とされています。他にも横の繋がりを大切にすることで、地域を持続させていくための取り組みが多く紹介され、受講者は初めて聞く、地域事例などに興味津々の状態で終了後や休憩中も多くの質問や意見交換が行われていました。
意見を交わす受講生
ワークショップでは盛んな意見交換が実施され、以下のような意見が交わされていました。どんなまちになっていたらいいか?というテーマに対しては、大人が子供に対し、田舎を出て行った方が良いというアドバイスをしないこと。その結果、子供が自ら残りたいと思えるようなまちが良いのではないかという意見や、自分の住む地域に対し、誇りや大切に思えるものや大切な人たちがいて、コミュニティーとしても関わり繋がることができるまちが良いという意見が出ました。また、高齢者の視点でも、お年寄りが元気に過ごせて、楽しみながら外に出たくなるような楽しいまちが良いとの意見もありました。
一方で、どんな人に自分たちのまちに来てほしいかというテーマに対しては、医療や福祉、他様々な産業で不足している人材といった現実的な意見や、区長や村役などの役割が不足しているので、地域をまとめることができる次なる世代の人材など、地域ならではの意見もありました。また、チャレンジ精神があり、繋がりや関わりも望んでいる人などの意見も出ました。
先で述べたようなまちを目指して、どのように関わってもらうか?といった手段についての協議では、よさのみらい大学の受講生や移住定住者などの地域の中にいる人材を可視化して、ヒューマンリソースマップ(地域内外の人材のMAP化)を作成してはどうか?などの具体的な手法の意見や、地域の目指す地域づくりのビジョンや具体的な目標などを明確化し共有し、効果が生まれるようなシステムを構築する必要があるとの意見等も出ていました。
講座の様子