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【よさのみらい大学講座レポート】与謝野町スマートソサエティー化計画  AIによって地域の暮らしが進化する!?

最終更新2023年04月01日(土) 10時00分
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与謝野町スマートソサエティー化計画  AIによって地域の暮らしが進化する!?
講師 東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT 研究センター教授 橋田 浩一 氏
日時 2019年3月9日(土)19:00~21:00
会場 知遊館
参加者 32名
講師の橋田浩一氏

講師の橋田浩一氏

東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT 研究センター教授 橋田浩一氏を講師に迎え、AIと融合する社会についての話を聞きました。

「AIとかITとか最近は話題にされることが多くなってきたが、本日はその中でも「データ」に関しての話をします。」という一言で講座が始まりました。※本講座では「データ」を、「個人の情報が電子化されたこと、もの」とします。

世の中には様々な個人に対する情報があります。例えば、マイナンバーのような基本的な個人情報から趣味嗜好、特技や職歴、持病の情報や治療履歴等があります。その個人に関する情報は本来であれば利用される場面、場所によって使いわけることができます。購入時にサービスを受けるときであったり、患者として医療行為を受けるときであったり。個人にとって都合の良いようにデータを使えるような仕組みになれば、サービスの質や価値が上がると講師の橋田さんは話されました。

現在、個人向けに行われているサービスの経済規模は600兆円と言われ、これはGDP(国内総生産:国が1年間に儲ける額)より約1割以上も多い額とのことです。サービスを受ける側である個人とサービスの提供者とをつなぐ、つなげる役割を担う「メディエーター」という仲介役サービスがあり、今後は個人データを収集し、仲介していくサービスの必要性がより高まり、経済の中で「個人データの価値」をどうやって維持、高めていくかが問われているといいます。

今、流行りのAIを例にしても個人データと関係が深いことがわかります。AIは、個人に対してサービスを行うものであるといことは、個人に関するデータが必要になります。ヨーロッパではこうした個人データに関する意識や制度が高まっており、「個人データを使っていいか?」、「使わないで欲しいか?」等の選択ができるよう、データポータビリティの権利が明確になってきているということです。要するに、自分自身で個人データを、どこに対して渡すのかを選択することができるようにしていく(なっていく)ことです。

※データポータビリティ―とは、あるサービスが特定の利用者に関して収集・蓄積した個人データを他のサービスでも再利用できること。<ポータビリティ=持ち運びできる>持ち運びができる個人データということを表しています。

現状は、個人データの多くは国や自治体そして企業が保有しています。個人データを国や民間企業が管理をしているので、個人情報が漏洩するなどの大きな問題が起きることがあるが、今後は個人のデータは個人が管理することによって「知らない間に個人データが漏洩していた?」などの問題が少なくなります。また、個人データを自分自身で管理することによってデータを開示する範囲を選ぶことができます。これらは、質の高い個人向けサービスを生み出したいと考えている企業にとってもメリットがあり、また個人がデータを提供することで対価をもらう機会も生まれる可能性もあります。 このような個人データの価値が高まる世界観の具体的事例としてスクリーンでは本格的な情報の共有が講師より行われました。

講義の様子

講義の様子

■タクシー利用の場合
今後、乗合タクシーなどのサービスが広まっていくにつれ「いつ、どこで、だれが、乗車したいのか?」などのニーズをデータ化し、地域毎での効率的な配車を可能にする。また、システムを1社だけで活用するのでなく、競合他社と共有することにより利用料をマージンとして分散させることができる。

■ヘルスケアデータの場合(持ち運べる健康データ)
個人の健康に関するデータは、掛かり付けの病院や自治体など限られた機関でのみ保有され、状況に応じて大きくは次の2種類にわけられる。
1:急を要する患者を受け入れる病院(急性機能病院)
2:治療が施され回復を目指す患者を受け入れる病院(回復機能病院)

患者は急性機能病院から回復機能病院に移されて治療が行われるが、個人の健康データを病院同士で共有されることがないと適切な治療が行われず、場合によっては再発や死につながることが考えられる。このようなリスクを減らすためにも個人データの活用は有効だと考えられる。また、地域診療所は、高齢化社会の中では多様なサービスが求められるが、診療所1か所だけで行えるサービスには限度がある。そういった場合にも診療所がグループとして個人データを共有することで機能などの強化につながる。他にも、最新の医療技術をうけるためにも個人データの活用が、遺伝子解析で適切な治療法をみつけるなどにも活用できる。

■入試、受験などの場面(eポートフォリオの活用)
eポートフォリオとは、学生が探究活動や課外活動、資格・検定等の実績をインターネット上に蓄積する「学びのデータ」で、学生が蓄積したものを教員が閲覧し指導に役立てたり、学生自身がWeb出願で利用できるようにするサービス。現在、高校一年生である世代が大学入試になるタイミングで活用される予定とされる。学生たちは学力だけでなく、自身の活動を武器にすることができ、目的をもった行動や活動が生まれることが期待されている。

■地域コミュニティー内での活用
個人の情報や活動の履歴などがデータ化されることで「開かれたコミュニティー」の実現が可能になります。地域の隣組や自治会などでは住民が開示したい個人データを選択し共有することによって、地域内で気軽につながる事が可能になり、ケースによっては地域全体で見守ることができるようになります。

■ショッピング、購買行動とのマッチング
Amazonなどの販売履歴はそのサービス内だけでの個人データだが、個人データが様々な媒体やサービスで広く活用されることによって、個人データに基づいたカタログが作られていくような世界観として、個人の欲求を満たすサービスや商品をマッチングし、マーケティングやビジネスモデルの拡大に繋がります。
このように色々な場面で、個人データを活用した新たな可能性が考えられていますが、これは早ければ5年程度で私たちの身の回りで実現されていくことになるそうです。

個人データは全てをオープンにする必要はありません。もちろん人に伝えたくないデータもあります。しかし、一般的にはオープンにしたくない恥ずかしいことでも個人の求めるものや価値観に繋がっていることもあります。こういったデータをうまく活用し、個人同士や個人と企業が、ときには深く、ときには浅く、状況に応じて繋がることが目的です。こういった環境を作りだし、守るためにも個人情報保護法が存在し、この法律も時代のニーズに合わせて見直されています。

個人データの活用は、教育、治安の確保、経済の発展、幸福度の発展などに寄与すため、行政としてもその取扱いについて早急に検討する必要性について、講義前に与謝野町民に実施した事前ヒアリングによる地域状況をもとに、個人データによる今後社会についての可能性を説明いただきました。

受講者による質問で、国別の個人データの考え方や、日本政府の見解、個人データを個人が保有することで起きる開示の判断の難しさや、地域の商いが個人データを活用した経済の中でどのように強みを見出していけばいいかなど、多くの問いが投げられました。講義終了後には、受講者同士で「どのように理解したか」「自分たちに置き換えるとどんな関係があるか」など多くの協議の機会が生まれたと報告をいただきました。今年度の講座の中で一番理解が難しい講座だったとの声もありましたが、受講者はそれぞれ理解を深めようと努力し、まさに大学として新たな知識と出逢う場として、積極的に考え、深い協議を行う場の創出につながる講座になりました。

受講者の様子

受講者の様子

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