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【よさのみらい大学講座レポート】伝統産業の中で革新的なサービスを生みだす方法

最終更新2023年04月01日(土) 10時00分
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伝統産業の中で革新的なサービスを生みだす方法
講師 西山酒造場 六代目 西山 周三 氏
日時 2018年9月21日(日)19:00~21:00
会場 知遊館
参加者 21名
講師の西山周三氏

講師の西山周三氏

今回の講座で講師招聘したのは、株式会社西山酒造場 代表取締役社長の顔と、福知山産業支援センター・ドッコイセ!bizセンター長の顔を持つ、西山 周三 氏。ビジネスとしての利益を求めるだけでなく社会貢献的な活動に取り組まれ、西山酒造場のこと、産業支援センターのこと、2つの現場での役割について講義されました。

【株式会社西山酒造場】
株式会社西山酒造場は、16年前に酒蔵に戻ってきた講師が、東京のテレビ局で営業マンとして働いていた経験を生かし改革を行っている酒造場です。

商売の基本は「差別化」をすることと講師はいいます。これまでの日本酒は、中身さえ良ければいいという考えが多くあり、パッケージデザインは一般的には茶色や緑の瓶に墨の筆文字で書いてあるものが主流で99%を占められていました。西山酒造場は、そうではない1%に入って、差別化をはかっていったといいます。

西山酒造場の創業は、1849年で今から約170年前まで遡ります。兵庫県丹波市、四方八方山で囲まれて田んぼ8割、民家2割、大きな太い川がその中に一本流れている土地で産声をあげ、4代目までは他と同じように緑や茶色の瓶で墨書きラベルでした。が、5代目の講師の父の代より、ボトルのデザインに差別化を図るようになったといいます。ワイン界にはあったラベルの意匠やボトルの曲線だけで銘柄の区別がつく世界を、日本酒でも作っていこうと思われたそうです。

3代目と4代目社長は俳句に傾倒し、高浜虚子とも親交を深めていました。大正4年、俳句仲間の宴席で、虚子の 「ここに美酒あり 名づけて小鼓といふ」 銘々で「小鼓」というお酒の名前が生まれました。俳句の季語からお酒の名前をとることはあっても、お酒の名前に俳句が詠まれたのは、西山酒造場ならでは。西山酒造場ブランドとして日本や世界に広がる俳句文化もターゲットに展開していけたらと考えたそうです。

また他社がやっていないことに、いかに挑戦していけるかが商売の中で重要だといいます。16年前から日本酒だけでなく、特産品を活かした丹波栗や黒豆を使った焼酎や、グラッパなどの蒸留酒も手がけ、栗の焼酎は高知に続いて全国で2位、黒豆は全国で1位となりました。ワインメーカーでグラッパを作っているところはあっても、日本酒や焼酎メーカーでグラッパを作っているのは西山酒造場だけ。また、アルコールを低くして楽しめるリキュールや低アルコールのものにも取り組んでいます。

サービスについて説明する講師

サービスについて説明する講師

規模で勝負するには設備的に厳しいため、まずマーケットの1番目、2番目に商品を投入し、そのマーケットの中で1番、2番を狙う戦略。ボトルデザインを他にはないものにするなど、デザイン力で勝負する戦略をとったといいます。

現在、輸出先は32カ国で輸出は10年前に始まりました。12年前に世界中を回って海外で高価な日本酒が飲まれる姿を確認し、確信をもって海外マーケットへ動き出したそうです。「構想は、楽観的に。計画は、悲観的に。実行する時には、楽観的に行う。」講師は、この考え方が大事だといいます。成功のポイントは「デザイン」で差別化を図り、「うちにしかないもの」をつくりアピールできたこと。これが自信になり、海外諸国とのやりとりも強気に出ることができるようになったと説明しました。

また、日本ではビールより日本酒が好きというニーズは人口の8%ほど。西山酒造場は92%の客層をとりにいく製品開発を目指し始めたといいます。糀の技術、発酵の技術を使って、0歳児から食べられるノンアルコールの製品開発。栗焼酎、黒豆焼酎使ってアルコールを含んだ「焼酎ケーキ」。「酒粕を使ったフォンダンショコラ」のスイーツや手作り石鹸、フェイスマスクといった化粧品製造の展開。徹底的に調べて今までなかった商品を開発し、海外輸出のほか東急ハンズ、ドンキホーテ等での販売というように、国内マーケットにおいても販路を拡大し、広く市場とつきあえる製品を作ることを進めているといいます。

既存のルートだけに頼らない新たな販路の開発として、16年前に家業に入った際に最初に手がけたのがネット販売。酒問屋が減る中、このネット販売が奏功し、売上の1/3は直販となり、新商品を開発して「新たな販路に入る」、そして「新たな販路を開発する」、この2つを強く意識するようになったといいます。

講師は「モチベーションは人から会社から与えられるものではなく、自分で創造するもの」といいます。 西山酒造場では、「一次品質=味わい」、「二次品質=デザイン、サービス、他社とのタイアップ」と、モノやその空間を演出する能力によって他社との差別化を図り、品質を上げています。

「こうあらねばならないという頑固さは、返って成長の妨げになる」、「壁があったらそれを飛び越えてみる」という流儀の西山酒造場。入社当初から責任を持たせて、やりがいのある仕事を与えているといいます。西山酒造場では、社員60人ほどの中で、40人強が女性で構成されています。体に汗をかく仕事は男性に、頭に汗をかく仕事(企画・製品開発、品質管理、分析など)は女性にと、女性にも権限やポジションを持たせることで、男性と女性の職場内での「必要(ニーズ)」のバランスをとっているといいます。

【第二部 福知山産業支援センター・ドッコイセ!biz】
講師は、福知山産業支援センター・ドッコイセ!bizセンター長も務めています。災害時に支援に関わった約700人のボランティアに、復興後振る舞い酒の提供はしたものの、それだけに止まることなく「何かしら恩返しがしたい」という気持ちを持っていました。そこへ福知山産業支援センターの話をいただき、直ぐに引き受けることにしたといいます。

福知山産業支援センター・ドッコイセ!bizは、アイデア出しの支援をし、相談者の流れを変える所。予約制ですが無料で何度も相談が可能です。①相談者の真のセールスポイントを見つける。(自分の強み、どう強みを増やすか)、②ターゲットを絞る。(可視化する)、③連携する。(計画戦略的な効果の連携)について重点的に取り組むそうです。西山酒造場で取り組んできている経験を活かし、相談者と会話を重ねる中でアイデアや知恵を見出していくそうです。福知山産業支援センター・ドッコイセ!bizは、平成30年1月16日にオープンしてから8ヶ月経ち、今日までの相談件数670件。講師を含めて3人体制で運営しており、福知山市以外からも足を運ばれる相談者もあるそうです。

企業経営者、農業者、多様な個人が一緒になって活性化を目指すことが、中小企業、農業者、個人事業者が元気になる術で、地方の活性につながっていくと講座を締めくくられました。

熱心に講義を聴く受講生

熱心に講義を聴く受講生

今回の講座では、多方面への挑戦や気構え等が、具体的な事例を通して学べる講座でした。経営者理念を社員に限らず多くの方々に伝え、地域や産業の活性化へ広げる講師の話は、地域現場で活躍する受講者たちにとって刺激ある時間となりました。質問タイムでは、海外進出や新たな雇用について考える受講者からの質疑も飛び交い、活気ある会場となりました。

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