ロタウイルスワクチン
ロタウイルスワクチンは2種類あり、どちらも生ワクチン(弱毒化したウイルス)で、飲むワクチンです。医療機関で相談し、どちらかのワクチンを選んでください。2種類とも、予防効果や安全性に差はありませんが、接種回数が異なりますので、他のワクチンとの接種スケジュールなどを考慮して選択します。なお、途中からワクチンの種類を変更することはできませんので、最初に接種したワクチンを2回目以降も接種します。
多くのワクチンの接種が重なる期間ですので、医療機関と相談して、他のワクチン接種と合わせて同時に接種することも検討してください。初回は生後2ヵ月に至った日から、出生14週6日後までに接種します。それ以降の1回目の接種はおすすめしません(腸重積症の発症リスクが高くなるとされています)。
対象児と接種方法
接種する ワクチン名 |
「ロタリックス」 を接種する場合 |
「ロタテック」 を接種する場合 |
接種時期 | 出生6週0日後から24週0日後 | 出生6週0日後から32週0日後 |
※標準的な接種期間は、どちらのワクチンも、1回目の接種を生後2ヵ月に至った日から出生14週6日後までに接種します | ||
接種回数 | 2回接種 | 3回接種 |
※どちらのワクチンも、27日以上の間隔をあけます。 | ||
接種後、特に注意する事 | どちらのワクチンも、接種後(特に1~2週間)は腸重積症(後述)の症状に注意し、症状が見られた際には、すみやかに接種した医療機関を受診してください。 |
注意点
・予診票は3枚お届けしていますが、ロタリックスを接種している方は、2回の接種で完了です。3枚目の予診票は廃棄してください。
・有効性や安全性から接種年齢の幅が短いため、スケジュールを確認いただき対象外にならないように接種を受けましょう。
・受診の結果、体調不良等で接種不可になった場合は、役場保健課にご連絡ください。予診票の再発行が必要です。
接種ができない場合
・腸重積症を起こしたことのある方
・未治療の先天性消化管障害のある方
・重症複合型免疫不全(SCID)を有する方
ワクチンを接種する前の注意
赤ちゃんのお腹がいっぱいだと、上手にワクチンが飲めない場合がありますので、接種前30分ほどは授乳を控えることをすすめます。上手に飲めるよう、医師、看護師の指示に従ってください。
ワクチンを接種した後の注意と副反応
・ワクチンがうまく飲めなかったり、吐いたりしてしまった場合でも、わずかでも飲み込みが確認できていれば、ワクチンの効果に問題はありませんので、再度接種はしません。
・ワクチン接種後2週間ほどは、赤ちゃんの便の中に、ワクチンのウイルスが含まれることがあります。おむつ交換の後など、ていねいに手を洗ってください。
・高熱、けいれんなど、異常を感じた場合は、すぐに医師の診察を受けてください。
・腸重積症の症状にご注意ください。
接種後に次のような症状がひとつでも現れたら速やかに医師の診察を受けるようにしてください。接種した医療機関とは別の医療機関を受診する場合は、このワクチンを接種したことを医師に伝えてください。
(1)ぐったりして顔色が悪くなる。
(2)泣いたり不機嫌になったりを繰り返す。
(3)嘔吐を繰り返す。
(4)血便が出る。
(5)お腹が張っている。
腸重積症について
腸重積症とは、腸が腸に入り込み、閉塞状態になることです。ロタウイルスワクチンの副反応として、腸重積症が報告されています。
0歳児の場合、ロタウイルスワクチンを接種しなくても起こる病気で、もともと、3〜4ヵ月ぐらいから月齢が上がるにつれて多くなります。腸重積症は、手術が必要になることもありますが、発症後、早く治療すれば、ほとんどの場合、手術をせずに治療できます。
月齢が進むと発症のリスクは高くなるため、早めに接種を開始し、早期に接種を完了させましょう。
ロタウイルス胃腸炎とは
ロタウイルス胃腸炎は、乳幼児に多く起こる感染性胃腸炎のひとつでロタウイルスというウイルスが原因です。口から侵入したロタウイルスが腸管に感染して発症します。感染力が非常に強く、手洗いや消毒などをしっかりしても、感染予防をすることが難しいため、乳幼児のうちに、ほとんどの子どもが感染します。
症状は、白っぽい水のような下痢や激しい嘔吐が特徴的ですが、症状が治まるまで1週間程度必要とされ、下痢、嘔吐が激しくなると、脱水症状を起こしやすくなります。乳幼児の急性胃腸炎の入院の中で、もっとも多い感染症です。
一生のうちに何度も感染するウイルスですが、初めてロタウイルスに感染した時は、特に重症化しやすく、まれに脳や腎臓に影響をおよぼしけいれんや脳炎を引き起こすことが報告されています。生後、すぐに感染する場合もありますが、根本的な治療法はまだありません。