○与謝野町中小企業振興基本条例
平成24年3月13日
条例第7号
私たちのまち与謝野町は、大江山連峰をはじめとする山並みに抱かれ、また、町の中心には、天橋立を望む阿蘇海へと続く野田川が流れ、豊かな自然に囲まれています。この豊かな自然の恵みによって、古くから織物業や農林業が営まれ、「丹後ちりめん」を主力とした織物業と、近年では、環境にやさしい自然循環農業が地域の経済と暮らしを支えてきました。
今日まで、まちづくりの重要な担い手である町内事業者は、地域経済の活力と雇用を生み出し、町民生活の向上に大きな役割を果たしてきましたが、人口の減少、急速な少子高齢化、経済のグローバル化の進展、予測できない災害等の影響による大きな社会構造の変化によって、その多くが厳しい環境に置かれています。このような状況の中、持続可能なまちづくりを進めていくためには、中小企業・小規模企業の役割と重要性について、町民、町内事業者、大企業者、経済団体等、金融機関、教育機関等及び町が共通認識を持ち、その果たすべき役割を明らかにしながら、意欲ある町内事業者を地域全体で支援し、育成していくことが求められます。
町内事業者は、多様な分野の連携のもと、地域内で経済を循環させ、地域内再投資力を高める経営を図り、積極的に地域外からの財を獲得するとともに、次世代を担う若者にとって魅力ある働く場づくりに努め、町民は、消費者として経済循環の一翼を担っていることを自覚し、町は、中小企業・小規模企業の振興を町政の重点課題と位置付け、町内事業者に対し、自主的な努力を基本としながらも、未来に挑戦できる環境づくりを進めていかなければなりません。
私たちは、ここに、中小企業・小規模企業の振興が地域経済と地域社会の発展に欠かせないものであると認識するとともに、町民の生活を豊かにし、若者が住み続ける持続可能なまちづくりの実現を目指すことを地域全体で共有するため、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、与謝野町の発展に重要な役割を果たす中小企業・小規模企業の重要性に鑑み、中小企業・小規模企業の振興について基本となる事項を定め、中小企業・小規模企業の振興に関する総合的な施策を推進するとともに、町民、町内事業者、大企業者、経済団体等、金融機関、教育機関等及び町が、それぞれの役割について相互理解を深めることにより、町民の暮らし並びに調和した産業及び経済の発展を促し、もって町民生活の向上及び持続可能なまちづくりの実現を図ることを目的とする。
(1) 町内事業者 中小企業者(中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者をいう。以下同じ。)又は小規模企業者(同条第5項に規定する小規模企業者をいう。以下同じ。)であって、町内に事務所若しくは事業所を有するもの又は町内で農業、医療、福祉等の事業活動を行うもの(中小企業者又は小規模企業者に準ずるものに限る。)をいう。
(2) 経済団体等 商工会法(昭和35年法律第89号)に基づく商工会、農業協同組合法(昭和22年法律第132号)に基づく農業協同組合その他経済活動の発展に寄与する団体等及びこれらに準ずる団体等であって、町内事業者と関係があるものをいう。
(3) 大企業者 町内事業者以外の事業者であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(4) 金融機関 町内事業者と取引がある銀行その他金融業を営むものをいう。
(5) 教育機関等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校その他教育機関であって、町又は町内事業者と関係があるものをいう。
(6) 町民 町内に在住し、在勤し、又は在学する者をいう。
(7) 地域内経済循環 町内事業者間における取引等によって蓄積される付加価値を高める経済活動をいう。
(基本方針)
第3条 中小企業・小規模企業の振興は、持続可能なまちづくりの実現を目標とし、町内事業者の自らの創意工夫及び自主的な努力を尊重しつつ、その特性に応じた総合的な施策を、町民、町内事業者、大企業者、経済団体等、金融機関、教育機関等及び町の連携のもとに一体となって推進することを基本とする。
(1) 誰もが創業等にチャレンジできるための施策
(2) 次世代産業の担い手づくり及びデジタル技術の活用推進のための施策
(3) 産業間の連携の推進と交流の場づくりのための施策
(4) 地域内経済循環の促進と地域外から財の獲得を目指すための施策
(5) 地域資源及び町内事業者に関する情報の発信のための施策
(6) 魅力ある働く場づくり、仕事づくりのための施策
(7) すべての住民が参加できる産業振興のための施策
(8) 地域経済の持続的な発展に資する調査研究のための施策
(9) 前各号に掲げるもののほか、町長が必要と認める施策
(町の責務)
第5条 町は、町民、町内事業者、大企業者、経済団体等、金融機関及び教育機関等と連携を図りながら、社会経済情勢の変化に対応した中小企業・小規模企業の振興のための適切な施策を推進し、財政上の措置並びに国等との連携及び協力に努めるものとし、必要に応じて国等に対し施策の充実及び改善の要請を行うものとする。
2 町は、町内事業者の事業の展開に必要な人材の確保及び育成を図るため、就業の支援、職業能力の開発その他必要な施策を講ずるものとする。
3 町は、工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、町内事業者の受注機会の増大に努めるものとする。
(町内事業者の役割及び努力)
第6条 町内事業者は、経済的社会的環境の変化に対応し、自主的に経営の向上及び改善に努めなければならない。
2 町内事業者は、事業活動を行うに当たっては、経営基盤の強化、人材の育成及び雇用環境の充実を図り、従業員が生きがいと働きがいを得ることができる職場づくりに自主的な努力を払うものとする。
3 町内事業者は、町が実施する中小企業・小規模企業の振興策に協力するよう努めるものとする。
4 町内事業者は、他の町内事業者、大企業者、経済団体等及び金融機関との連携による地域内経済循環の促進に努めるものとする。
5 町内事業者は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるとともに、自然環境との調和に十分配慮するものとする。
6 町内事業者は、教育機関等に対し、職業に関する情報の発信、体験の機会の提供等を通じ、次世代を担う人材の育成に努めるものとする。
(大企業者の役割)
第7条 大企業者は、中小企業・小規模企業の振興が本町経済の発展において果たす役割の重要性を理解し、町内事業者との連携を図るとともに、町が実施する中小企業・小規模企業の振興策に協力するよう努めるものとする。
2 大企業者は、町内における町内事業者及び経済団体等との連携による地域内経済循環の促進に努めるものとする。
3 大企業者は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるとともに、自然環境との調和に十分配慮するものとする。
(経済団体等の役割)
第8条 経済団体等は、町内事業者の経営の向上及び改善に係る取組を積極的に支援するとともに、町が実施する中小企業・小規模企業の振興策に協力するよう努めるものとする。
(金融機関の役割)
第9条 金融機関は、町内事業者が経営の安定化並びに新たな事業展開等の経営の改善及び革新に取り組むことができるよう、資金の円滑な供給及び経営相談等を通じて支援を行うことにより、中小企業・小規模企業の振興に資するとともに、町が実施する中小企業・小規模企業の振興策に協力するよう努めるものとする。
(教育機関等の役割)
第10条 教育機関等は、学校教育における勤労観及び職業観の醸成が町内事業者の人材の確保及び育成に資することに鑑み、将来の地域を担う人材の育成を推進し、及び町内への定住が図られるよう、職業に関する教育及び体験の機会の提供その他必要な施策の推進に努めるものとする。
2 教育機関等は、中小企業・小規模企業の振興が町の持続的な発展に重要な役割を果たすことを認識し、町が実施する中小企業・小規模企業の振興策に協力するよう努めるものとする。
(町民の理解及び協力)
第11条 町民は、中小企業・小規模企業の振興が町民生活の安定及び向上並びに地域社会の活性化に資する役割を理解し、町内事業者の健全な発展及び育成に協力するよう努めるものとする。
2 町民は、消費者として町内において生産され、製造され、又は加工される製品の購買や消費及び町内において提供される役務の利用に努めるものとする。
2 会議において審議される施策等に対し、町民、町内事業者、大企業者、経済団体等、金融機関、教育機関等及び町は、協働してその実現に向けて取り組むものとする。
3 前2項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(委任)
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この条例は、平成24年4月1日から施行する。
附則(令和4年12月14日条例第33号)
この条例は、公布の日から施行する。