○与謝野町国民健康保険特定健康診査等実施計画
平成20年3月4日
告示第16号
目次
序章~計画策定の趣旨と背景~
第1章 計画期間と目標
第2章 特定健康診査等の対象者
第3章 実施方法
第4章 個人情報の保護
第5章 計画の公表と周知方法
第6章 計画の評価及び見直し
第7章 その他
■序章~計画策定の趣旨と背景~
国民健康保険は、日本が世界に誇る社会保障のひとつである皆保険制度にのっとり、誰もが安心して医療を受けることができる制度として大きな役割を担ってきました。近年、急速にすすむ少子高齢化に加え、社会経済の低迷の中で低成長時代を迎えており、国民意識や生活スタイルの変化など生活環境は著しく変わってきています。増加の一途を辿る医療費と人口構造の変化により、将来にわたっての持続可能な制度としていくためには抜本的な医療制度の改革が求められています。
国は、昭和53年からの「第1次国民健康づくり対策」、昭和63年からの「第2次国民健康づくり対策」、そして平成12年からは「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」として健康づくりを国民運動の一環として推進してきました。
本町では、「健康はつくるもの」という発想のもと、町民自らが主体的に取り組む健康づくりを支援するため、無料での町民健診を実施し、地域ごとに健康相談会をもつことで、受診者への保健指導を行うとともに健康教室やリハビリ教室さらには転倒予防教室などの健康づくり事業を推進してきました。
これまで、生活習慣病予防対策については、糖尿病・高脂血症や禁煙教室等の予防教室の開催をはじめ、町CATV、町報等を活用した情報提供や知識の普及に努めてきましたが、アウトプット(事業実施量)評価であるために、実際の効果が見えにくいといった状態でありました。また、保健指導においては、個別疾病の早期発見・早期治療が目的となっており、そのため、健診後に「要精検」や「要治療」となった方に対する受診勧奨を行うことが中心となっていました。
こうした中、国では、平成17年12月に制定された「医療制度改革大綱」を踏まえ、生活習慣病予防の徹底を図るため、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)に基づいて、医療保険者に対して特定健康診査と特定保健指導の実施が義務づけられました。これにより、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の概念を導入して対象者を把握し、その要因となっている生活習慣を改善するために個別の保健指導を実施し、改善状況を数値で示すことにより、成果の見える健康づくりを推進していくこととなりました。今後は、健診や保健指導の結果を医療保険者が管理することになることから、レセプトデータ等との突合も可能となるため、事業成果の総合的な評価を行うことで、事業全体の改善を図りながらすすめていくこととなります。
本計画は、国の特定健康診査等基本指針に沿って、与謝野町国民健康保険被保険者に対して実施する特定健康診査並びに特定保健指導の目的や方法等について定めるものであります。
内臓脂肪型肥満に着目した生活習慣病予防のための新たな健診・保健指導の基本的な考え方について
■第1章 計画期間と目標
① 計画の期間
本計画は、平成20年4月から平成25年3月までを計画期間とします。
② 目標
本計画の目標は、原則、平成27年度時点での達成率をもとに、計画期間が終了する平成24年度での目標値について、以下のとおり定めます。
項目 | 計画目標 | H27 | 考え方 |
① 特定健康診査の実施率 | 65% | 80% | 国から示された参酌標準の全国市町村国民健康保険標準値 |
② 特定保健指導の実施率 | 45% | 60% | 国によるモデル事業等から想定される参酌標準値 |
③ メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍の減少率 | 10% | 25% | H27時点でH20と比較して、25%減少という政策目標をもとにH24時点の目標値を算出 |
(メタボリックシンドローム該当者及び予備軍の見込み)
年度 | 国保被保険者数 | 受診率 | 受診者数 (A) | メタボ該当者・予備軍(B) | (B)/(A) | ||
予備軍 | 該当者 | 計 | |||||
H19 | 6,254人 | 36% | 2,252人 | 180人 | 454人 | 634人 | 28.2% |
H20 | 6,080人 | 41% | 2,493人 | 193人 | 517人 | 710人 | 28.5% |
H21 | 5,911人 | 46% | 2,719人 | 204人 | 551人 | 755人 | 27.8% |
H22 | 5,746人 | 51% | 2,931人 | 214人 | 578人 | 792人 | 27.0% |
H23 | 5,586人 | 56% | 3,128人 | 222人 | 600人 | 822人 | 26.3% |
H24 | 5,431人 | 65% | 3,530人 | 243人 | 659人 | 902人 | 25.6% |
※対象は、40歳以上75歳未満の与謝野町国民健康保険被保険者
■第2章 特定健康診査等の対象者
① 対象者
特定健康診査等の対象者は、原則、年齢40歳から75歳未満の与謝野町国民健康保険の被保険者の方で、町内に居住する者とします。
また、特定保健指導の対象者は特定健診を受診された全員とし、その健診結果により階層分けを行うことで、指導内容を区分して実施することとします。この保健指導対象者については、平成19年度の町民健診のデータを用いて算出しています。
※1 30歳から40歳未満の被保険者の方については、人間ドックにより健診することができます。
※2 75歳以上の高齢者は、後期高齢者医療制度による健康診査を受けていただきます。
② 階層区分(抽出基準)
腹囲とBMI指数をもとに、次の3つの項目について、一定基準を超えた場合にリスク(疾患)としてカウントすることにより区分します。
イ 血糖 空腹時血糖100mg/dl以上又はHbAlcの場合5.2%以上若しくは薬剤治療を受けている場合
ロ 脂質 中性脂肪150mg/dl以上又はHDLコレステロール40mg/dl未満若しくは薬剤治療を受けている場合
ハ 血圧 収縮期血圧130mmHg以上又は拡張期血圧85mmHg以上若しくは薬剤治療を受けている場合
ニ 喫煙歴(イロハの項目に該当する方の場合)
●「積極的支援」区分の方とは
腹囲が男性の場合85cm以上、女性の場合90cm以上で、リスクが2つ以上ある方。又は、腹囲が基準以下であっても、BMI指数が25以上の場合で、リスクが3以上の方
●「動機付け支援」区分の方とは
腹囲が男性の場合85cm以上、女性の場合90cm以上で、リスクが1つある方。又は、腹囲が基準以下であっても、BMI指数が25以上の場合で、リスクが1か2の方
※前期高齢者の方は、積極的支援に該当する方でも動機付け支援に区分します。
●「情報提供」区分の方とは
上記の支援区分には該当しない方(特定保健指導の対象とはならない方)で、基本的に情報提供による指導を行うこととしています。
※ただし、上記の階層区分のいずれに該当する場合でも、すでに医療機関において加療中の方については特定保健指導の対象とはしません。
(特定保健指導対象者数の見込み)
年度・性別 | 受診者数 | 受診率 | 動機付け支援 | 積極的支援 | 合計 | 割合 | ||
H19 | 男性 | 1,031人 | 33.2% | 126人 | 130人 | 256人 | 24.8% | |
女性 | 1,221人 | 38.8% | 113人 | 31人 | 144人 | 11.8% | ||
計 | 2,252人 | 36.0% | 239人 | 161人 | 400人 | 17.8% | ||
H20 | 男性 | 1,235人 | ― | 148人 | 153人 | 301人 | 24.4% | |
女性 | 1,258人 | ― | 114人 | 32人 | 146人 | 11.6% | ||
計 | 2,493人 | 41.0% | 262人 | 185人 | 447人 | 17.9% | ||
H21 | 男性 | 1,346人 | ― | 158人 | 163人 | 321人 | 23.8% | |
女性 | 1,373人 | ― | 121人 | 34人 | 155人 | 11.3% | ||
計 | 2,719人 | 46.0% | 279人 | 197人 | 476人 | 17.5% | ||
H22 | 男性 | 1,450人 | ― | 166人 | 172人 | 338人 | 23.3% | |
女性 | 1,481人 | ― | 127人 | 35人 | 162人 | 10.9% | ||
計 | 2,931人 | 51.0% | 293人 | 207人 | 500人 | 17.1% | ||
H23 | 男性 | 1,547人 | ― | 173人 | 179人 | 352人 | 22.8% | |
女性 | 1,582人 | ― | 132人 | 36人 | 168人 | 10.6% | ||
計 | 3,128人 | 56.0% | 305人 | 215人 | 520人 | 16.6% | ||
H24 | 男性 | 1,744人 | ― | 191人 | 197人 | 388人 | 22.2% | |
女性 | 1,786人 | ― | 146人 | 39人 | 185人 | 10.4% | ||
計 | 3,530人 | 65.0% | 337人 | 236人 | 573人 | 16.2% | ||
(参考)全国推計値 | 男 | 15.5% | 18.8% | 34.3% | 24.9% | |||
女 | 11.5% | 4.5% | 16.0% | |||||
計 | 13.4% | 11.5% | 24.9% |
■第3章 実施方法
① 実施形態
●特定健診
本町での特定健康診査は、民間健診機関への委託実施とし、一定期間と場所を定めて一斉に実施する集団健診の形態とします。
この際、従来から総合健診として合同実施してきました「がん検診等」についても同様に実施していくこととします。
●特定保健指導
健診結果に基づいて受診者を階層化により区分し、健康レベル毎に別に定める基準に沿って保健指導を実施します。
この保健指導は、原則、与謝野町保健課の保健師により、別に定める「特定保健指導計画」にしたがって、計画的かつ効率的に実施していくこととします。
この際、従来から展開しています各種の健康教室や相談事業等の健康づくり事業とも連携を密にする中で、総合的な支援・指導を推進していくこととします。
② 実施時期及び場所
●時期 9月(3週間)
●場所 加悦・岩滝保健センター及びわーくぱる(町内3ヵ所)
③ 実施項目
・身体計測(身長、体重、腹囲)
・血圧測定
・尿検査
・心電図
・眼底
・血液検査(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、AST、ALT、γ―GTP、空腹時血糖、HbAlc、血色素量、赤血球数、ヘマトクリット値)
・質問票
④ 実施機関
特定健診については、府内の総合健診機関への外部委託とし、町民健診での実績のある機関とします。
⑤ 受診の流れ
■第4章 個人情報の保護
① 健診データ等の保管
健診データやレセプトで知り得た個人情報については、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)及び「個人情報の保護に関する基本方針」(平成16年4月2日閣議決定)を遵守して、適正かつ厳重な管理を行うとともに目的外での利用等がないように取り扱うこととします。
② 情報提供(国保係→保健係)
本町が保健指導を実施する上で、国民健康保険や被用者保険等で確保されている健診データ等の情報提供を受ける場合には、個人情報の保護に関する法律を遵守して利用するものとします。
③ 外部委託
特定健診を外部委託する際には、個人情報の保護に関する法律等を踏まえ、知り得た情報の厳正な管理並びに取扱いについて規定した契約を締結します。
■第5章 計画の公表と周知方法
●計画の公表にあたっては、町報や町ホームページを通じてパブリックコメントを募集するなど広く意見を求めたうえで、整理、修正を加えて策定し、公告することとします。
●事業実施にかかる既存の町民健診との変更点等について、町CATV等のあらゆる広報媒体を活用することで、わかりやすい広報に努めます。
●本計画の目的や効果について町民への周知徹底を図ることで、地域団体や会社等との協力のもと、「健康づくり」が町民運動として広がりをみせ、町民の誰もが「笑顔かがやく」元気なまちをめざします。
■第6章 計画の評価及び見直し
この計画によって実施された特定健診事業については、受診率の増加並びにメタボリックシンドローム該当者の減少を目標に掲げ、計画的に推進していくこととしていますが、毎年度、事業目標にかかる達成状況の確認を行うとともに、実施体制、周知方法、委託事業者の選定方法、保健指導方法など細部にわたっての評価と検証を行うものとします。
こうしたことにより、実施方法等の見直しや工夫をかさねながら、より効果の得られる事業となるようにすすめていくこととします。
■第7章 その他
●町民健診として実施する「がん健診」等との合同実施とすることで、町民の視点に立った効率的な事業実施を行います。
●保健指導を担当する保健師等のマンパワーの確保並びに指導要領等の研修、データの分析と活用方法など人材育成に努めるものとします。
●国・府さらには地域医療機関等との連携を密にする中で、データ分析による傾向や対策を講じていけるように努めます。
附則(令和5年4月1日告示第37号)
この告示は、令和5年4月1日から施行する。